Vol.057 エベレスト登頂に必要なもの

Vol.057 エベレスト登頂に必要なもの



2018年06月12日投稿
2020年07月14日更新



高度8800mを超える世界一高い山、エベレスト。
気軽に登れる山ではありません。しかし、過去5000人以上が登頂に成功しており、その中にはプロの登山家ではない一般人も多く含まれます。
そうした一般人の登頂には、「酸素ボンベ」が必要です。
「シェルパ※」を雇うことも必須です。
さらには、事前に登頂のための「訓練」をたくさん積んでおられることでしょう。
プロの登山家でない人が、この「訓練」にかける時間は、受験生が平均レベルの高校や大学に合格するための勉強時間と比較して、長いでしょうか?短いでしょうか?
もちろん個人差はあるでしょうが、エベレスト登頂のための「訓練」よりも長時間勉強してきた受験生だっているのではないかと思います。
「時間」だけで言えば、そのくらいに大変なことなのです、「受験」も。
命を落とす危険がないだけで。

「受験」をエベレスト登山に例えると、学習塾の役割は「シェルパ」に相当します。
しかし、「受験」という登山においては、「シェルパ」の言うことを素直に聞かない生徒が出てきます。
「出てきます」どころの話ではなく、ほぼ全員と言ってもいいくらいです(笑)
なぜ、生徒は言うことを聞かないのか?
理由は、「こうすべきだ」という判断の根拠となる情報源が「シェルパ」と生徒では異なるからです。
多くの生徒は事前に下調べをしていない上に、標高の低いところの景色しか見ていません。
適切な判断のためには「情報」が必要ですが、未経験者にはそもそもそれがないのです。
持っている情報が異なれば、出てくる結論が異なるのもある意味では当然。
例えば、登り始めてすぐに「酸素ボンベ」を持っていこうとしない生徒が現れます。
なぜなら、重くて面倒だから。
たしかにそれは標高が低い今の時点では重たいだけの荷物ですが、一定以上の高度になると必須のものであることを「シェルパ」である我々は知っています。あとになって引き返すのは非効率なので、面倒でも持って登るわけです(実際のエベレスト登山では、シェルパが運ぶのでしょうが)。
余談ですが、「受験」において「酸素ボンベ」に相当するのが「正しい学習態度」です。
この「正しい学習態度」の最たるものが「姿勢」
テレビによく出演されている東進ゼミナールの林修先生も「姿勢が一番大切!」と何かの記事でおっしゃっていましたが、全く同感。
指導経験豊富な教師であるほどに「姿勢」にはうるさいものです。
正しい「姿勢」でなければ、長時間集中して勉強することはできないからです。

「自分でどうやるかを考えること」は、本当は大切なことです。
男子に多いですが、終盤になって劇的な成績の伸びを見せる「頑固な」タイプの生徒がいます。
彼らが後半に伸びてくる理由は、自分で「判断」できるので、誰かの指示を待つ必要がないから。
一つ一つ言われた通りにしかできない生徒などあっという間に置き去りにしてしまいます。
ただし、そのレベルに達するまでには本当に時間がかかります。
不完全な情報を基に組み立てた「間違った自分流」にこだわるので、一定のレベルから全然伸びない。
そのまま沈んでいく場合もありますが、「今のままではダメだ」と思ってくれたらしめたもの。
8合目付近で「しまった!」と猛反省し、酸素ボンベを取りに帰ってくれます。

「受験」は甘くありません。
誰にでもチャレンジできますし、命を落とす危険もありませんが、だからと言って簡単なわけではないのです。
人によっては、エベレストに登るよりも長い準備時間が必要。
それだけ高い山ですから、まだ標高の低い地点にいる生徒は、まだ「見えていないこと」や「知らないこと」だらけです。
相手はそういう景色しか見えていない、だから、正しい答えも変わってしまう。
その前提を理解した上で、相手を適切な行動へ導けるかどうか。
我々が、常に頭に入れておかねばならないことです。

※シェルパ:ヒマラヤの山岳ガイドを行う少数民族。荷物の運搬の補助なども行う。


この記事をシェアする