Vol.080 片付けができない生徒の成績は伸びない

Vol.080 片付けができない生徒の成績は伸びない



2018年11月27日投稿
2020年07月14日更新



「やるべきこと」をやってもいないのに成績が伸びるはずはありません。
「やるべきこと」をやり切る力は学力というよりも、自己管理能力です。
自己管理能力100点の人に会ったことはありませんが、0点という人にも会ったこともありません。
つまり、自己管理能力は「ある/なし」で分けられるようなものではないということです。
自己管理能力が高ければ高いほど、自分の歩みたい人生を歩める可能性が高くなります。
「あるべき行動」に自分を合わせていくことができるわけですから、それも当然。
そのため、一生を通じて伸ばしたい能力と言うことができるでしょう。

自己管理能力が年齢に対して著しく不足していると、成績面でも問題が出てきます。
ですから、なんとか年齢相応の自己管理能力はつけてあげたいものです。
中学生であれば、「期限通りに学校の提出物を提出できる」というのがボトムラインです。
ここが崩れてしまっているようであれば黄色信号。
学力だけでなく、日常生活においても様々な問題が出ているはずです。
学年や年齢相応の自己管理能力がないわけですから当然です。
では、どのようにすればこの自己管理能力を高めることができるのでしょうか?
結論から言います。
きちんと片付けをさせてください。
学校から帰ってきたら、靴をそろえる。本を読んだらすぐに書棚に戻す。制服なのであれば脱ぎ散らかさせない。机の上にプリントや問題集を山積みにさせない。
片付けの本質は「やらなければならないことを後回しにしない行動習慣」です。
モノは、すぐに片付けないから散らかるわけです。
別の言葉で言えば、整理整頓が行き届いた状態というのは、「やるべきこと」が後回しになっていない状態と言えるでしょう。
この習慣をつくることが自己管理能力の向上に効きます。
成績の伸びない子に共通する悪癖の一つが後回し。「やるべきこと」と「やりたいこと」があったときに、「やりたいこと」ばかりを優先してしまうのです。
提出物にせよ、試験にせよ、締め切り直前になればなるほどに時間的な余裕はなくなります。
実のところ、究極の後回し術と言っていいくらいにギリギリまで何もやらないタイプの人間が東大生にもいます。しかし、彼らが一般的な中学生と根本的に違うのは、並外れた集中力と高い処理能力を持っている点。人生のどこかのタイミングで「大量勉強」を経験し、勉強の仕方の要領をつかんでいることもほぼ共通します。
参考記事:Vol.031 「やりすぎる」ことからはじめよう
そのため、締め切り直前でも何とかやり切れてしまうのです。
ところが、同じことを中高生がやろうとすると大失敗します。時間がなくなればなくなった分だけ、点数が低くなるのが普通の中高生だと思ってください。
大切なことは、「やるべきこと」の後回しではなく前倒し。
「やるべきこと」をやってから「やりたいこと」をやれるように、生活習慣から変えていくこと。
その方法として、まずは片付けをしっかりできる子に育てることです。

ただし、この点に関しても「やりなさい」は逆効果です。
「制服をきちんと片づけてからでなければ食事は与えない」「部屋が散らかっている状態ではスマホを触らせない」のように、子どもが自然とそれを守るようになるルールを一緒に設定し、そのルールの監督者的な立ち回りで動いてあげると良いでしょう。


この記事をシェアする