Vol.019 「勉強しなさい」を言っていませんか?
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Vol.019 「勉強しなさい」を言っていませんか?



2017年09月01日投稿
2020年07月14日更新



「ただいまー!!」
16時前、中学3年生の息子が学校から元気良く帰ってきました。
いつもより早い帰宅。
なぜなら今日から2学期、部活動はもう引退しました。
塾の授業は20時から。夕飯を19時頃食べさせて塾に送り出す予定です。
受験まで残り半年ということで、塾の先生も多めに宿題を出してくれているはず・・
宿題はまだ終わっていないと昨夜言っていました。
塾の先生の話では、この2学期の内申点は入試の評価に加わるということ。
面談でそれを聞いてきた息子は「勉強がんばる!」と言っていたはずですが・・。
帰ってくるなり、制服を脱ぎ捨てて、ユニクロのスウェット姿になった彼。
テレビの前のソファの上に座って、スマホをずっといじっています。

母「あれ?2学期からがんばるって言ってなかった?」
本人「がんばるよー」(スマホを触りながら)

(10分経過)

母「塾の宿題まだやってないって言ってなかったっけ?」(イライラ度20%)
本人「あとでやるから大丈夫―」(スマホを触りながら)

(20分経過)

母「2学期は試験前でなくても勉強するって話じゃなかった?」
本人「うるさいなー、いま友達からLINEの返信くるの待ってんだって!」
母「それならずっとスマホ触ってる必要ないんじゃない?」(イライラ度68%)

(30分経過)

母「いつまでスマホ触ってるのよっ!」(イライラ度98%)
本人「わかってるって、うるさいなー!!!もう止めるって。」

(40分経過)

母「ほんとうに自分の状況わかってるの!!勉強しなさい!!」

はい、言ってしまいました。
言わない方がいいと思っていても、我慢の限界です。

私はよく「勉強しなさい」と言うのを我慢してください、と中学生の保護者様にお伝えしています。
そう言うと、「それを言わないと、勉強しなくなって成績が下がると思います。」と返されます。
たしかに、一時的には成績は下がるかもしれません。
それでも、言ってはならないのです。
子どもはもう小学生ではありません、「勉強しなさい」は幼稚園児や小学生のための言葉です。
ここはご両親が我慢しなければなりません。
ご両親が勉強させてきた影響力が強ければ強いほど、子どもが自分の意志で勉強できるようになるまでの移行期は長くなる傾向があるように思います。

自立心が子どもの中に芽生え始めると「親離れ」が始まります。
これまで一緒に買い物に行っていたのに、隣を歩くことを恥ずかしがったり、隠し事が増えてきて自分の部屋にこもっている時間が長くなったり・・。
典型的な「反抗期」の症状を示す子もいますが、多かれ少なかれ小学校高学年から中学校にかけての期間に、これまでとは違う自立の兆候が子どもたちに表れはじめます。
このステージにいる子どもにとって一番カッコ悪いことって何でしょうか?
それは、「親の命令に従っている自分」です。
「自分のことは自分で決めたい」心が育ってきているのに、親が子どもの行動をコントロールしようとすれば、それは上手くいくはずがありません。
心では「やらなければならない」とわかっているけど「できない」。
これが心の中で起きていることであり、大人だって同じようなことで悩みます。
ダイエットのために、甘いものを控えようとしているのに、つい・・。
英語の勉強をしようと思いながらも、疲れ果てて寝てしまう・・。
そういったことが全くないという人もいるかもしれませんが、少なくとも私自身はやろうと決めたことを完璧にできる人などあまり見たことがありません。

やろうと決めたことを命令ではなく、「自分の意志で」できる子にさせることが重要です。
それが思春期です。
中学生の子どもの試験結果を無理に暴き出すお母様がいらっしゃいますが、それは過干渉というものです。学習環境のコントロールができるのは、ご両親なので、結果を知っておいた方が良いとは思いますが、イライラして何か言いたくなるくらいなら見ない方がましです。
そこまで気になるなら、具体的な点数はわからなくとも、普段の様子で、「学習がうまくいっている、いっていない」の判断くらいはついているのではありませんか?

当たり前のことですが、子どもはいつか親から離れていきます。
「勇気を持ってその事実と向き合うこと」特に母親にとって、それが難しいのはわかるのですが、愛する子どものためにもぜひそのようにしていただきたいと願っています。


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