Vol.052 傷つかないための予防線
2020年07月14日更新
すこし前の流行歌ですが、Mr.chilldrenの桜井さんが歌詞の中で「傷つかないための予防線」という秀逸な表現を使われていました。
事前に予防線を張る行為は「自己成長」という観点からは全く望ましくありません。
予防線を張りたいときに生徒が口にする決まり文句があります。
それは、「私は頭が悪いから・・」という言葉。
困難に直面したとき、この言葉は「やらない」理由の免罪符となってしまい、あきらめてしまう誘因にもなります。
生徒自らこのように発言する場合は、そのマインドセット(=考え方)から変えてあげないと、成績を飛躍的に伸ばすことは難しいです。
さらには、稀にですが、ご両親の口から、この言葉が飛び出してくることもあります。
とんでもないお話です。
ご両親が子どもの可能性を信じてあげず、誰がその子の可能性を信じるのでしょうか。
わが子に期待を何度も裏切られた結果、そのような思考になってしまったのはわかるのですが、本人よりも先にご両親があきらめてしまっては、どうにもなりません。
ご両親の「子どもの成長を信じ続ける力」が、将来的にその子の「自信」の背景となっていくのではないかというのが、長年にわたり、塾生とそのご両親を見続けてきた私の見解です。
それが足りていないと思えば、教師である我々がそれを補う役回りを行いますが、やはりご両親からの信頼に勝るものはないと考えています。
この言葉を子どもが頻繁に口にする場合には黄色信号だと思ってください。
「やればできる」かどうかはやってみるまでわかりません。
ですから、「成果」ではなく「成長」を信じて見守ってあげる態度が周囲の人間には必要です。
Vol.022 「やればできる」を言うと子どもがダメになる
やってみてもダメだったときに、ダメな自分と向き合うのはたしかにつらい。しかし、向き合った結果、自分を知ることも財産だと思えば、学んでムダなことなど何一つありません。
「やってみなければわからない」は勉強に限らず、万事に共通することなので、最初に自己否定から入るクセをつけてしまうと、何事も中途半端な人生になってしまいます。
勉強や部活はやってみてダメだった場合のリスクが非常に少ない時間投資です。
だから、まずはやってみる。
それも中途半端に、ではなく、なるべく徹底的に。
そうすることで新しい自分の可能性と「出合う」確率が高まります。
「仕事」は結果に意味がありますが、「学び」は過程に意味があります。
「学び」において大切なことは、自分を信じてとにかく前に進むこと。
失敗もするでしょうし、傷つくこともあるでしょう。
誰かに迷惑をかけることもあるかもしれませんが、それこそ「若さの特権」。
「成長」することで自分の社会貢献価値を最大化し、あとで社会に返せばいい。
人生の残された時間も長いのですから、生徒や学生でいる期間はたくさんの挑戦や失敗をして、自分の限界を知り、等身大の自分に最適な未来選びをしてもらいたいと思うわけです。