Vol.090 Ifへの備え
2020年07月14日更新
いよいよ受験もピーク期に突入です。
学習塾関係者にとっては胃が痛くなる季節ですね。本気になって育てた生徒の受験というのは、自分の受験以上に苦しかったり心配だったりするものです。
この時期、受験生にとって最も大切なことは何でしょうか?
過去問を何度も何度もやり込むこと?
受験に向けて弱点分野をしっかりと克服しておくこと?
あるいは逆に、得意分野を補強していくこと?
すべて違います。
最も大切なことは、体調管理です。
合格可能性が50%のボーダーライン付近で勝負することになる受験生の場合、合格点付近には1点刻みで受験生が集中しています。
模試や過去問に真剣に取り組んできた生徒であれば、体調で合計点が10点や20点変わってしまうことがざらにあるということをよく理解しているのではないでしょうか。
その10点や20点が本番で合否を分ける点数となります。
しかし、この大切なことを大半の生徒は自覚していません。
起きる可能性は低いが、「もし(if)」起きると痛手となってしまうことへの備えを、私は「Ifへの備え」、あるいは単純に「守り」と表現します。
子どもに限りませんが、経験の少ない時期はこの「Ifへの備え」が苦手です。
試行回数が少ないので、確率的に「If」に遭遇している可能性が低いからです。
加齢や経験にはデメリットもあるのですが、「If」に配慮できるようになることは長所です。
そこで、受験期はご両親が以下のようなことを気にかけてあげるようにすると良いでしょう。
・朝の起床時間、夜の寝る時間(6時間未満は不可、7.5時間以上が目安)
・食べるものと体調の因果関係の把握と対策(胃腸が弱い子)
・外出時の服装、室内の服装(室内ではコート類を脱がせましょう)
・女の子特有の問題
・持病があるのであれば、投薬による集中力への影響など(医師や薬剤師と相談してください)
・天候、外気温や室内の温度、湿度のチェック
塾であれば関与できるものもあれば出来ないもののありますが、母親であればすべての問題に先回りして配慮してあげることができるはずです。
その一方、「健康管理も本人任せ」という教育方針を持つご家庭があっても良いと思います。
何事においても自分で経験しなければ行動が変わらないタイプの子どもに対し、人生の早い段階で「失敗」を経験させるというのは、悪い育て方ではありません。
いずれにしても、この時期の受験生にとって体調管理に勝る大切なことはないです。
本人も周囲の支援者も、そのことだけは忘れないようにしましょう。