Vol.094 応用問題が解けるようになるまでに

Vol.094 応用問題が解けるようになるまでに



2019年03月05日投稿
2020年07月14日更新



投じた勉強時間をx、学力の伸びをyとして考えます。
その場合の正比例のグラフは以下のようになります。

比例のグラフの例です

このグラフが示すように、「100時間につき偏差値が1伸びる」みたいにわかりやすい結果になればいいのですが、当然のことながら、このようにはなりません。
たった1時間の勉強が大きなブレイクスルーとなることもあれば、100時間勉強してもほとんど学力が伸びない(ように見える)こともあります。
これは勉強に限らず、どんな分野でも起きることです。
特に応用技術の習得はそうです。

この理屈は勉強の応用問題の解答力で考えると、簡単に説明できます。
生徒がなにか新しいことをインプットしたとき、その知識やスキルは以下のようにたまっていきます。
仮に1日1時間勉強したとしましょう。
10日間で考えてみます。

1日目

2日目
●●
3日目
●●●
・・・
10日目
●●●●●●●●●●

この●の量は応用問題の解答力(=アウトプット値)を表していません。
単純にインプットされた知識やスキルの分量です。
応用問題の解答力は、この●の足し算ではなくかけ算によって決まります。
なぜ、足し算でないかというと、それぞれの●が相互に影響を与え合うのが応用問題だからです。
どういうことか説明させていただきます。
例えば、「0.25x+0.3x」のように、「文字式」の単元で「小数」の計算問題が出たとします。
この問題、「文字式の計算ルール」あるいは「小数の計算ルール」のどちらかを知っていれば点数の半分を取れるでしょうか。
取れませんね。
片方が0なら点数も0点。
片方が0のときに結果が0になるのは足し算ではなくてかけ算の関係、というわけです。

このように応用問題のアウトプット値は知識やスキルのインプット量のかけ算で決定するので、応用問題の解答力を示す計算は以下のようになります。
(●を2という数字で置きかえて考えてみます)

1日目
2
2日目
2×2=4
3日目
2×2×2=8
・・・
8日目
2×2×2×2×2×2×2×2=256
9日目
2×2×2×2×2×2×2×2×2=512
10日目
2×2×2×2×2×2×2×2×2×2=1024

この変化をグラフにすると以下のようになります。

指数関数のグラフの例です

わかりやすくするために数字を2にしたので大きな変化になっていますが、実際は1.01のように極めて小さな数字です。
しかし、かけ合わせが成果につなげるという原理は同じなので、グラフは同じ軌道を描きます。

親や教師のような成長支援者が、頭に入れておきたいことは2つあります。
一つ目は停滞期の存在。
8日目~10日目の変化と比較すると、1日目~5日目はほとんど伸びていないように見えます。
応用問題や応用技術の習得において、停滞期(しかし、微妙に伸びている)があるのはこのように自然のことであり、その時期はどうしても我慢が必要です。
二つ目は成長タイミングの見極め。
爆発的成長の前夜には、何かしらの兆候が表れ始めます。
しかし多くの場合、「やってもどうせ無理」感が出始めるのもこの頃。
爆発的成長の手前であきらめるのが一番もったいないですから、その兆候は見逃さないようにしなければなりません。
「あきらめたい」という気持ちになっている本人に対し、精神面のケアを行い、しっかりと支えてあげるようにしてください。


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