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Vol.153 言葉にできないと解決できない

Vol.153 言葉にできないと解決できない



2020年05月12日投稿
2020年05月12日更新



大人でも、自分の問題意識のすべてを言葉にできるわけではありません。
中学生にもなれば、かなり言葉は上手くはなりますが、自分の中に生じる複雑な思いを「表現」できるほどの語彙力を持った生徒は少数です。
このことが、生徒がストレスを抱えこむ原因となります。
なぜなら、表現不可能な問題を解決することはできないからです。
「解決できない」以上、そのモヤモヤは永遠に自分を苦しめる存在なのです。
「表現」の手段は、必ずしも言葉である必要はありません。
それが音楽や絵画であっても良いでしょうし、人によっては数式でも良いでしょう。
何らかの方法で、自分の中にあるものをかたちにできると人は心が安らぎます。
複雑な心情や事象を、何らかの形式に変換する能力を私はひろく「表現力」と捉えています。
あらゆる教科は、それぞれの教科の形式で物事を「表現」する訓練をしていると考えることもできますね。

一般的に言って、表現手段として最も使い勝手が良いのは「言葉」です。
芸術は心情の表現手段としては適切かもしれませんが、問題解決には不向きです。
あるいは、数式で心情を表現するというのもなかなか難しい。
「言葉」であれば、そのどちらの場合においても使えます。
さらには音声と文字という2つの手段で使い分けることができます。
ドラッカーが言うように、話すのが苦手な人は書けばいいし、書くのが苦手な人は話せばいい。

Vol.079 読む人間か、聞く人間か

音楽や絵画や数式は受け手を選びますが、「言葉」は大半の人に通じます。
その使い勝手の良さから考えて、「言葉」は21世紀の表現手段ランキングでも不動の1位であり続けることでしょう。「言葉」にすることによって人は多くの他人と協働でき、さらには自分の中で解決策を導き出すことができるようになるのです。
将来の人類は何らかの機器を自分の身体に埋め込み、その機器によってテレパシーのようにしてコミュニケーションを取るようになるかもしれません。
あるいは、どこかのコンピューターが瞬時に解決策を送信してくれるとか。
そうなれば「言葉」は不要です。
しかし、今のところそうした未来が数十年の間にやってくる気配はありません。
Googleに問題解決してもらう前に、何を検索すれば良いかを「言葉」にできる必要があります。

生活の悩みにせよ、仕事の悩みにせよ、解決したいならまずは「言葉」にすることです。
「言葉」になって初めて、その問題は解決に向けて動き始めます。
つまり、問題解決能力の高さはその人の言語化能力の高さにほぼ依存するということ。
世間一般にプロと呼ばれる人は、その分野の事象の言語化に長けています。
モヤモヤとした悩みは、まずはそうしたプロに言語化のお手伝いをしてもらうと良いでしょう。
子どもの人生の悩みに関しては、まわりの大人が言語化の役回りを演じてあげると効果的です。


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