Vol.167 やればできる子

Vol.167 やればできる子



2020年08月18日投稿
2020年08月18日更新



親や教師の「やればできる」は禁句ですが、「やってもできない」と思っていては何も始まらない。

Vol.022 「やればできる」を言うと子どもがダメになる

伸びる生徒は、自分の可能性を信じているものです。
自分の可能性を信じる力。
読んで字のごとく、その力を私は「自信」と言っています。
自分を肯定できる「感情」を「自尊心(Self-esteem)」と言い、それをわかりやすく「自信」と言いかえて使うこともあるのですが、それとはまた別に「自己効力感」という心理学用語を「自信」と言いかえて使っていることもあります。
「自分の可能性を信じる力」という意味の「自信」に近いのは、こちらの「自己効力感」の方です。
心理学の教科書では「自己効力感」は「認知」であると説明されています。
細かい定義に従えば、「自尊心(Self-esteem)」→「感情」と「自己効力感」→「認知」は別ものなのですが、実務的にこれらを分けて考えることにあまり意味はありません※。
どちらも「自信」で良いと思います。

「自己効力感」という言葉の生みの親であるアルバート・バンデューラ氏が、どういった経験からこれが生まれるのかということを述べておられます。
氏によると、以下のような経験によって「自己効力感」は生み出されます。

達成経験
最も重要です。平たく言えば自分が上手くやった経験(成功体験)のことです。

代理経験
自分以外の誰かがそれを達成した経験を観察すること。例えば、同じレベルの友人の成績の急上昇を目の当たりにすることで、自分も同じように成功することがあります。

言語的説得
誰かの励まし。「やればできる」と無根拠に成果を保証する言葉がけをするのではなく、挑戦する価値を伝えることや、勝算を具体的な根拠を基にして説明してあげるのが良いでしょう。

生理的情緒的高揚
気分上々になるとできそうな心持ちになるものです。好きな曲を聴いて気分を盛り上げることや決起会に参加するなど、使える手段は意外に色々あるものです。

根拠のない「やればできる」で励ますのではなく、本人の中に「やればできる」という「自信」が自然と育つようにこうした経験を積ませてあげてください。

※あえてそれぞれを分けると、「感情」には主体的意志の入り込む余地や情緒的な不安定さが残りますが、「認知」にはそれがないという点になるかと思います。


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