Vol.170 教師は易者
2024年08月27日更新
ネイティブアメリカンのある部族は獲物を狩りにいく方角を「占い」で決めていたそうです。
カリブーの肩甲骨を火にかざし、そのひびを見て長老が行き先を決める。
その「占い」の通りにやれば狩りは成功するのです。
なぜか?
そこに獲物がいると信じているからです。
この逸話から導かれる教訓を一つ挙げるならそれは、「自力でその選択肢を正解にするという態度も重要」ということだと思います。
どの方角も正解になりえるし、どの方角も不正解になりえる。
獲物を発見できるかどうかは本人次第ということです。
現代社会において、進路を「占い」で決めるのは良い方法ではありません。誰でもきちんと調べれば、それなりの量の情報を手に入れることができるからです。事前に少しでも「そこに獲物のいる可能性」が高い選択肢を探しておくべきでしょう。
しかし、いくら調べてもわからないこと、読み切れないことというのもあります。
こうした場面で、その子の「決断力」が問われます。
これは、自分の選択を正解だと信じる力と言いかえることができます。
先の部族にたとえると、そこに獲物がいると信じている度合いが、
絶対にいる>おそらくいる>いないかもしれない>きっといない>絶対にいない
右側に寄るほどに取り組みが適当になるのは当然です。
もし、本当はそこにたくさんの獲物がいるのに、「絶対にいない」という態度で探していたらとてももったいないことになってしまいます。
だから、自分の選択を正解だと信じる力=「決断力」が大切なのです。
人生経験の少ない生徒たちは、この「決断力」がまだまだ弱いのが普通です。
だから、ときには親や教師が「占い師」になって、そのお手伝いをしてあげる必要があります。
やっていることに対する確信が揺らぐと、人はがんばれないからです。
だから、その確信を少しだけ後押ししてあげる。
教師の役割の一つに「易者(占い師)」があるのは、こうした理由です。