Vol.172 目を合わせない生徒

Vol.172 目を合わせない生徒



2020年09月22日投稿
2020年09月22日更新



教室で、私がいる場所は入ってすぐのカウンター席。
入室した生徒は最初に私と顔を合わせることになります。
毎回、「こんにちは」と声をかけるのですが、その反応は様々です。
笑顔であいさつを返すことのできる生徒もいれば、うなずくだけの生徒もいます。

Vol.140 あいさつ

現在の私は生徒の授業に直接的に関わってはいません。
学校の校長先生と同じ立場です。
現場の講師にコミュニケーションもまかせていますから、個々の生徒との人間関係も薄いです。
しかし、適度に距離がある分、かえって生徒たちのことがよく見えます。
こうした関係性の中で気になるのは、あいさつや会話のときに目が合わない生徒です。
目が合わない生徒には2つのタイプがいます。
誰に対しても目を合わせることのできない生徒と、特定の相手とだけ目を合わせる生徒です。
前者は、単純にコミュニケーションの技術や経験が不足しています。
コミュニケーション能力そのものを底上げすることでしか解決できません。
勉強面で心配なのが後者のタイプです。
こうした生徒はどこかのタイミングで成績が伸び悩むことがとても多い。
なぜ、伸び悩むのかというと、行動が自分の主観基準となっているからです。
好きな先生なら言うことを聞くけど、興味のない先生の言うことはきかない、あいさつもしない。
好きな科目ならがんばるけど、嫌いな科目には手をつけない。
様々な場面で「どうあるべきか」よりも、生理的な感情が優先してしまい、嫌いなものや興味のないものは見ようともしないのです。

勉強や社会生活の場に「こだわり」を持ち込むと、そこで得られる学びや人間関係がすべて「自分基準」になってしまい、次第に成果が出せなくなってきます。
例えるなら、偏食。
好きだからと毎食ラーメンを食べているとすれば、どうなってしまうでしょうか。
栄養バランスの良い食事の方が健康的であることは間違いありません。
教師側の心構えとして大切なことは、生徒の偏食を助長しないことです。
色々なモノの見方や、生徒に見えていない側の良い側面を語って教えてあげることが大事です。

Vol.095 尊敬できる大人の存在

逆に良くないのが、生徒の悪口や不満に安易に同調すること。
指導現場で特に多いのは、他の先生の悪口に対しての同調ですね。
対比効果で自分の自尊心が満たされるため、ついこれをやってしまう人が多くいます。
背景にあるのは、その生徒の尊敬を独り占めしたいという自己都合の心理。
生徒の主観に同調し、学校の先生を悪く言う塾の先生がいたら警戒してください。
長期的な視点で生徒の成長を考えられていない可能性があります。


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