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Vol.186 2020年総括

Vol.186 2020年総括



2020年12月29日投稿
2020年12月29日更新



2020年も残すところ、あと3日となりました。
激動の一年を振り返り、今年最後の塾長ブログとさせていただきます。

■2019年年末
この頃、よく口にしていた言葉があります。
それは「2020年は忘れられない1年となるから、それにふさわしい事を成し遂げよう」というものでした。「忘れられない」というのは、もちろんコロナウィルスによるものではなく、東京オリンピックという象徴的なイベントがある年なので、自分たちが年老いてからもきっとこの年のことは一生思い出すであろうと思ったのです。
その期待は想像もしていなかったかたちで裏切られることになりました。

■2020年1月~3月
この時期のことに関しては以下のブログに詳しく書いています。

緊急事態宣言

2月27日の安倍首相(当時)の突然の学校休校宣言がありました。
社会が大変混乱していましたから、判断の拠り所となる塾としての一貫した方針を持つ必要性を強く感じました。とにかく、そのときに私が強く思ったことは「塾屋として何があっても生徒たちの学びを止めてはいけない」ということでした。今に至るまでその方針を第一に動いています。

■2020年4月以降
4月7日(火)、緊急事態宣言発令。
プラスジムでは4月4日の土曜日に高校受験生の決起会を行っていたのですが、そのときに「もしかしたら、近いうちに緊急事態宣言が出るかもしれない。」と話をしたのを覚えています。3日前でも翌週に緊急事態宣言が出ることはわかっていなかったわけです。
続いて、「2月27日からの1ヵ月間、僕たちはこの日に備えて準備を進めてきた。もしそうなっても大丈夫だから安心してください。」と生徒たちに伝えました。
4月8日からプラスジムは開校以来初の長期休校期間となりました。
4月10日には高校受験生を対象にオンラインで初の集団授業、4月20日にはオンラインでの個別指導を開始しています。準備していたにも関わらず、個別指導の開始まで2週間近くかかってしまったことは反省しています。通信環境の改善を行ったり、遠隔地からでも管理可能な形式に生徒カルテを変更したり、アルバイト講師の出勤体系を構築しなおしたり、タブレット端末を買いそろえて、その設定や使い方の練習を行ったりといったことを行っていました。不幸中の幸いであったのは、この時期が定期試験や受験の直前期でなかったことです。そうした時期に約2週間授業を止めるようなことがあれば、生徒たちへの影響は計り知れません。
もともとマンツーマンであった高校生の個別指導はオンラインへの移行は比較的スムーズでしたが、難しかったのが中学生の個別指導です。80分で講師1人生徒2名という指導形態だったのですが、この1対2の指導をオンラインでどのように実現していくかというのが難題でした。1対2の指導形態をそのまま行えば、1名の生徒の指導を行っている間、もう1名に目を届けることが難しくなります。教室の授業でも2名に目配りしながら授業を進めるのは一定の技量を要するのに、それをオンラインで実現できる気はしませんでした。
中学生は勉強力がまだ弱く、集中力の持続時間が長くないので、問題を解いている最中であっても、一定の配慮が欠かせません。悩みましたが、授業時間を40分に短縮し、講師のマンツーマン指導で生徒をじっくり見る指導スタイルへ転換させていただきました。年末にいただいたアンケートでも、「授業時間が短い」などこの指導形式に対する不満のお声を何件かいただいています。
私も元に戻すべきだと考えてはいますが、対面授業を行えなくなる脅威が去ったわけではありません。もし、ここで指導形式を完全に元に戻してしまえば、再びオンライン授業となったときに授業の空白期間が生じてしまいます。現実的に起こりえるシナリオとして、教室内の生徒あるいは講師にコロナ感染者が出てしまい、1週間~2週間程度の休校となる可能性は充分にあります。そうなった際に、指導を止めないことの方が、優先順位が高いと考えていますので、当面はオンラインに即移行できる現在の指導スタイルを継続させていただきます。コロナの脅威がましになり(予想)、緊急性の高い授業がなくなる来年3月末を目処に、中学部をご要望に沿えるものへとリニューアルさせていただく予定です。

■オンライン教育の是非
コロナの脅威が完全に去ったわけでもないのに、緊急事態宣言が明けると大半の学習塾は授業を対面授業形式に戻しました。特に勉強力の弱い小学生や中学生に関して、「オンラインは難しい」というのが、業界の共通見解だったのではないかと思います。オンラインの普及によって教育の新しい可能性の扉が開かれることを多くの人が期待したと思うのですが、そうは簡単にいきませんでした。緊急避難的にオンラインを活用することは出来ても、その形式をずっと継続していくと様々なところに無理が出てきます。この点に関して、興味深いデータを一つ紹介させていただきます。
ワシントンポスト紙2020年11月25日の記事(※)にて、アメリカ・ヴァージニア州のフェアファックス郡公立学校の内部分析調査資料が紹介されました。この学校は2020年3月よりほとんどの授業をオンラインで行っていたそうです。結論だけを言うと、(オンライン授業導入によって)教育困難な状況にある生徒は成績が顕著に下がり、成績優秀な生徒はわずかに成績上昇の傾向が見られたということです。
日本の公立中学校はほとんどオンライン授業に対応できませんでしたから、一般的な公立中学生にオンライン授業を行った場合、そのことが学力にどういう影響を与えるのかについての充分なデータがありません。このアメリカの公立学校の分析資料は、やむを得ずオンライン授業に切り替えた日本の学習塾の先生方が直感的に気づいていたオンライン教育の問題点を、エビデンスによって示したという点で非常に意義深いものだと思います。
「教育困難」をプラスジムの言葉に変換すると「勉強力が弱い」となります。
プラスジムにおいても、この勉強力の強弱の差がオンラインの成否を分けました。
中学生の成績で言うと、定期試験400点以上、通知表平均がオール4以上となるような生徒の場合(個人差はあります)、実はオンライン授業でも問題はあまり生じませんでした。実際、こうした生徒は対面授業が再開してからも、オンラインを自主的に継続されていたりもしました。しかし、その成績域に達していない生徒の場合、オンラインはかなり難しいということがわかりました。映像教材やAI教材もすべて同様です。
「勉強力が弱い」ことは、公立中学生としては特に悪いことでも恥ずかしいことでもありません。
むしろ、そういう生徒に勉強力をつけていただくことこそが中学生向けの学習塾の存在意義であると考えています。そのためには対面授業が欠かせません。
今回のコロナ禍が明らかにしたことの一つは、オンラインの流れが勉強弱者をより苦しめていくことです。オンライン教材は一度作成してしまえば、その後の追加コストが限りなく低いので、いくらでも学び放題になります。オンライン講義は1万人を相手に授業することも可能です。最大の皮肉は、あまり教育にお金をかけることの出来なかったために勉強で苦労している層の子供たちにオンラインが不向きであることです。「オンラインで勝手に勉強してね」という世の中になれば、学力格差は拡大していく一方でしょう。
コロナの脅威に腰が抜けてしまっている日本の大学の多くは、いつまで経っても対面授業を再開せずにいますが(学生がかわいそうです)、そのことによって本当に苦しんでいるのは優秀な学生ではありません。声も上げられないような勉強力の弱い学生です。先日、文部科学省が4月~10月の大学中退者数の発表を行いましたが、それによると例年までと比べて中退者は微減の傾向にあるということです。この数字だけを見ると、あまり問題は起きていないように見えますが、私には、先行きが不透明なため、非力な学生が動くに動けずに大学に留まっているだけに思えてなりません。
日本においても、そうした学生たちの困窮が今後次第に明らかになっていくことでしょう。
この時代に「勉強力」をつけておくことの重要性を、あらためて実感した1年でした。

※ワシントンポスト紙2020/11/25号『Failing grades spike in Virginia’s largest school system as online learning gap emerges nationwide』

■2020年総括
2013年にプラスジムを開校して以来、最も死の淵に近づいた1年でした。塾がなくなってしまうことも何度も覚悟しました。しかし、「ピンチをチャンスに変える」を合言葉にして、過去にない様々な取り組みにチャレンジできた1年でもありました。
無事に本年を終えることが出来そうなのは、こうした状況下にあっても、子どもを塾に継続して通わせてくださった保護者様方の温かいご支援があってのことであり、大変感謝しています。
初めてのことが多く、色々ご心配やご不便をおかけしてしまいましたが、それらすべてを糧にして2021年はより一層の素晴らしいサービスを創り上げていきます。
プラスジムの講師スタッフも、二転三転する状況の中、大変よくやってくれました。
そして、こうした状況の中でも教室に通い続けてくれた塾生たち。
本当にありがとう。
2021年が皆さまにとって、この世界にとって、素晴らしい1年となることを祈りつつ、2020年最後の言葉とさせていただきます。


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