Vol.239 定期試験と受験はまた違う

Vol.239 定期試験と受験はまた違う



2022年01月11日投稿
2022年01月11日更新



「うちの子の成績が伸びなくて・・」というご相談。
子どもが公立中学生であれば、この「成績」は、大抵は内申点(通知表)のことです。
ほかにも例えば、

「学校の勉強が上手くいっていないようです」
「数学がわからないと言っています」
「勉強の仕方がわかっていないのか、効率の悪い勉強をしている」

こうしたご相談も丁寧にお話を伺うと、やはり内申点がお悩みの原因であるケースが大半。
中学生の子どもの学習の現状についてモヤモヤとしたお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度以下のように自問自答してみてください。

「もし、うちの子が内申点オール5だとしたら、私は同じように悩むだろうか?」

この質問の答えが、「NO」なのであれば原因は内申点以外にあるということなのですが、「NO」はお悩み全体の2割未満程度なのではないかと思います。
結局のところ、大半は内申点の問題なのです。
しかし、学習塾としては問題をもう少し具体的にしておきたいところ。
そこで「学習塾への要望」という観点から整理してみます。
思うような内申点が取れていない場合、授業態度や提出物に問題がある場合もあると思うのですが、それだけが・・・・・問題なのであればわざわざ学習塾に相談はされないのではないでしょうか?

「うちの子の学校の授業態度を改善させてください」
「うちの子が学校の提出物を出すようにさせてください」

こうしたご要望をいただくことはまずないからです(笑)
自分たちでは解決が難しいと思われる問題、すなわち定期試験の点数をどう伸ばせばわからないからこそ、学習塾に相談に来られるのではないかと思います。
つまり、お悩みの原因は定期試験であることが多いんですよね。

しかし、そう一筋縄ではいかないのが定期試験対策です。
ここで一つ質問をさせていただきたいのですが、
模試と定期試験だったら、どちらの方が、点数を伸ばしやすいと思われますか?

「それは定期試験でしょ。出題範囲が決まっているのだから」

そのように思われる方が多いのですが、実はそうでもないのです。
そうした方は、おそらく頭の中に大学受験をイメージされているのだと思います。
高校生であればたしかに定期試験の方が簡単ですが、中学生は少し事情が異なります。
多くの中学生にとって、実は模試の方が点数を伸ばしやすいのです。ただし、塾などで適切な指導を受けた場合に限ります。これについては後述します。

定期試験は設問形式や難易度が試験によってバラバラです。
試験開始してから、これは落とせない問題、これは自分には難しい問題、といった判断をしながら問題を解かなくてはなりません。試験作成した先生の授業を聞いていなければ絶対に解けない難問奇問が出題されることも多いです。
そして勉強苦手な子にとって、何より厄介なのが対策期間の短さです。
理科や社会といった科目は、通常は約2週間程度で試験勉強するわけですが、学習計画が少し狂っただけで、「勉強時間が取れなかった・・」のようにして撃沈してしまいます。
つまり、公立中学校の定期試験で高得点を狙える生徒というのは、

・日頃から学校の授業をよく聞いて理解している
・学校の先生と仲が良く、情報収集がうまくできている
・短期の計画的学習能力が高い
・短期集中型の勉強が得意
・一時的な記憶保持能力に優れている
・試験慣れしている(他の生徒と比べて)

こうした特徴を持った生徒であり、必ずしも模試に強い生徒とは一致しません。
中学生の頃の定期試験は良かったのに、高校生になって、模試偏差値の伸び悩みに苦しむ大学受験生はたくさんいます。過去の成功体験に倣って勉強をがんばるのですが、そのやり方では、あまり上手くいかないのです。

定期試験が上手くいっていないのは、勉強苦手なのではなくて定期試験型の勉強に向いていないだけかもしれません。
そうであるなら、その子に合った別の「勝ち方」を模索してあげれば良いのです。
学校の定期試験の点数を伸ばすことにだけ固執する必要はないのですから。
いつまでも苦手なことにこだわって、出来ていないことばかり親が指摘し続けると、子どもは「どうせやってもムリ」感全開になり、自信も挑戦意欲もどんどん失われていきます。
正直、すごくもったいないなと思います。

高校受験は中学生にとってのパラダイムシフトである、ということを私はよく言います。
評価指標が定期試験から偏差値に変わるからです。
これまで勉強に自信がなかった生徒にとって、この変化は最大の逆転チャンスであり、短期間で劇的に成績を伸ばせる可能性があります。
事実、プラスジムではこの成功パターンを毎年連続で繰り返しており、偏差値を10以上伸ばす生徒はもちろんのこと、伸び幅が20を超える生徒が出ることもあります。その場合、偏差値45くらいからとなることが多いのですが、この20の伸びを100人の競争に例えると、70位くらいだった生徒が、上位10位以内となることを意味します。
このように劇的な変化が起きるのは定期試験とは、まったく別のアプローチ※で勉強に取り組むからです。(※参考記事:「偏差値の伸ばし方」)
逆にいえば、定期試験型の勉強しかしていない生徒は、偏差値は伸びない可能性が高いです。
このあたりのことを、これから子どもの高校受験を迎える方にはぜひ知っていていただきたいなと思うわけです。どんな分野にも結果を出しているプロというのは一定数いて、どうすれば良いかのやり方を知っているわけですから。


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