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Vol.253 なりたい職業は公務員、本当にそれでいいの?

Vol.253 なりたい職業は公務員、本当にそれでいいの?



2022年04月19日投稿
2022年04月19日更新



2022年3月17日、第一生命保険会社が全国の小中高生3000人を対象に行った「第一生命『大人になったらなりたいもの』アンケート」の調査結果を発表しました。
以下は高校生部門の調査結果です。

男子 女子
1位 会社員 1位 会社員
2位 ITエンジニア/プログラマー 2位 公務員
3位 公務員 3位 看護師
4位 ゲーム制作 4位 教師/教員
5位 教師/教員 5位 幼稚園の先生/保育士
6位 サッカー選手 6位 パティシエ
7位 Youtuber/動画投稿者 7位 薬剤師
8位 鉄道の運転士 8位 医師
8位 野球選手 8位 ヘア・メークアップアーティスト
10位 医師 10位 トリマー/ペットショップ店員

こうした調査で毎年、上位にランクインする人気の職業が公務員。
小学生を対象にしたアンケートよりも、中学生や高校生を対象にしたアンケートで上位にランキングされるケースが多いように思います。
公務員を選んでいる理由は様々だと思いますが、「公務員のお仕事に憧れて」という理由は少なそうです。仕事ではなく、自分の趣味や家族優先の人生。贅沢をするつもりもないので、平均的な収入があればそれで良く、それよりは安定した環境に身をおいておきたい。こうした調査で、公務員と回答する生徒はこの職業にそんな漠然とした期待を持っているのではないかと推察します。
生き方は個人の自由ですから、私はその価値観を一切否定しません。
しかし、本当にそう考えているのであれば、「なりたい職業が公務員」というのは間違った将来の目標設定になっているのではないでしょうか。
これからの時代、公務員は過酷で大変な職業となっていくものと思われるからです。

理由は簡単です。
国が貧しくなり、経済的に困窮する人が増えると、そのケアは基本的に民間ではなく行政のお仕事になります。ビジネスとして成立しない分野の社会問題だからです。
とりわけ深刻なのは、少子高齢化の進展と単身世帯の増加です。
今後、身寄りのない高齢者が確実に増えていきます。
「引きこもり」が社会問題化したのは、今から30年くらい前ですが、当時の若者も今では40代から50代となり、その親は70代から80代です。80代の親が50代の子どもを支える構図から、「8050問題」と言われていますが、そうした子どもも、いずれ高齢者になります。こうした中高年の「引きこもり」は2019年に内閣府が公表した統計資料では全国に61.3万人もいると推定されています。
彼らの生活のケアは、これからの公務員にとって非常に重要なお仕事となってくることでしょう。

日本経済が右肩上がりに成長していた頃であれば、街づくりのように前向きなお仕事も多かった公務員ですが、これから先はその逆、撤退や弱者の救済といったお仕事が主な役割となってきます。
それは社会の誰かがやらなければならないことです。
社会貢献性という意味では、経済成長期の公務員よりもはるかに大きな役割を果たしてくれていると思うのはきっと私だけではないはず。
大変だけれども誰かがやらなければならない仕事、というのは社会にはたくさんあります。
もっと楽に稼げる方法はいくらでもあるのに、そうした仕事に情熱的に取り組むプロフェッショナルがいます。そうした人がなぜ頑張れているのかというと、それは職業的「使命感」ではないでしょうか。今後、公務員というのはまさにそうした使命感を持った人でなければ務まらない職業になると私は考えています。
国が雇用を保証してくれるから安定していると考える人もいますが、安定というのは雇用や収入の保証だけを尺度にして語れるようなものではありません。精神的に疲弊する毎日の中で、心身を病んでしまうことや、職場において人間関係が上手くいかなくなるようなことも仕事においてはリスク要因であり、そうした理由で職場を不本意ながら辞めることになる人というのはたくさんいます。

情報感度の高い若者の間では、公務員忌避の兆候はもうすでに出始めています。
公務員の最高峰は国家公務員総合職、霞が関の官僚です。
ひと昔前までは東大生の「花形」卒業後進路でした。
報道などでご存知の方も多いと思いますが、2016年から官僚を目指す若者が大きく減少し始め、総合職試験の申込者はこの5年間で3割近くも減っています。
きちんと勉強していて、良くも悪くも現実的なモノの考え方をすることが多い秀才たちが官僚のお仕事に魅力を感じないようになってきたのは、ごく自然な成り行きのように思います。
さらに時間が経てば、そうした事実によりたくさんの若者が気付くようになるでしょう。
だからこそ、「なりたい職業は公務員、本当にそれでいいの?」と思うわけです。
「大変だけど、やりがいがある」というのが、次の時代の公務員であって、決してラクができる安定した職業ではないからです。

本記事では、公務員の話がしたかったわけではありません。
こうなりたい、こんな学校生活にしたい、こんな人生にしたい。
そうした想いは人それぞれあって良いと思うのですが、若い人を見ていると、その目的に対して選ぶ手段を間違えているのではないかと思うケースが多々あります。
勝手な印象やイメージのまま、学校選びや職業選びをするのではなく、情報を集める、当事者に会う、人の話を聴く、などして、自分の本音と目指す進路が一致しているかの確認をしてください


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