Vol.254 相関係数

Vol.254 相関係数



2022年04月26日投稿
2022年04月26日更新



高校受験生において、数年前から「相関係数」という数字に着目するようになりました。
この数字を定点観測することで、教室や生徒の課題が見えやすくなるためです。
「相関係数」とは、2種類のデータ間の関連性の強さを示す数字です。
何のデータを見ているかというと、週当たり勉強時間と塾内テスト(毎週実施)点数です。
その2種類のデータの「相関係数」を算出するようにしています。
そこから、以下のことがわかります。

A:正の相関関係がみられる=勉強時間が長い生徒は塾内テスト結果が良い傾向にある
B:相関関係がみられない=勉強時間の長さと塾内テスト結果に関連性はない

Aが理想的な状態です。

「相関係数」の分析にはどんな意味があるのか。
勉強時間を記録し、経年比較することで、きちんと勉強に取り組めているかどうかがわかります。
塾内テスト結果をみることで、学習内容の定着度合いをみることができます。
しかし、全体としてその2つの数字を見ているだけでは見落としがちな点が1つあります。
それは、「塾内テストの点数を伸ばすための勉強(=偏差値を伸ばすための勉強)ができているかどうか」という視点です。
受験生ではない場合、「学校授業の理解を深めて定期試験の点数を伸ばす」ということで、塾と本人の目的意識は一致するのですが、受験生は違います。
受験という(本人からすると)遠い目標に向けて、やるべきことを積み上げるカリキュラムになっているため、本人は学校の勉強だけに意識が向いており、塾は受験に意識が向いているという不一致が起こりがちです。
特に初めての受験となる中学3年生においてその傾向が顕著です。
当然の話ですが、偏差値を伸ばすためには偏差値を伸ばすための勉強が欠かせません。
的外れの勉強をしていると、いざ模試となったときにまったく成果が出ないということが起きます。
そもそも勉強していないのであれば仕方ないですが、勉強していたにも関わらず成果が出ないというのはなるべく避けたいこと。
勉強時間と塾内テストの「相関係数」をみることで、こうした問題に事前に気付くことができます。

先週、高校受験生の「相関係数」を分析すると、2つのデータに関連性がないことがわかりました。
勉強量の多い生徒もいますが、塾のテストとは関係のない勉強をしているということです。
4月のこの時期としては珍しいことではありませんが、今後、塾としては勉強内容の方向づけや、塾内テスト(受験)への意識を高める働きかけ、などを行っていくことになります。
このようにして、まずは「勉強時間を塾内テスト向けにも使ってもらうこと」から解決します。
その次に課題になってくるのが、「塾内テストのための勉強をしているにも関わらず、点数が獲れない生徒」への対応です。「勉強のやり方」の指導が中心となりますが、勉強時間に見合った成果を出せるようにサポートをしていくことになります。


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