Vol.259 手強い生徒

Vol.259 手強い生徒



2022年05月31日投稿
2022年05月31日更新



面談などで話をしていて、「むむ・・・!!この生徒はかなり手強いぞ」と感じる瞬間があります。
成績が伸びるまでに時間がかかりそう、あるいは成績向上の見込みがないということなので、良い意味ではありません。
その症状をひと言で表現するなら、重度の「勉強音痴」。
「勉強音痴」については、過去にブログ記事にしたこともあります。

勉強音痴

自分の状態を客観的に認識できない、あるいは、しようとしない、という症状です。
自己認識力は最初から備わっているわけではなく、訓練によって精度を高めていくものです。
音楽経験者だからと言って、すべての音の高低を正確に言い当てることが出来る人ばかりではないように、勉強面に関しても完璧な精度で自己認識できるようになる必要はありません。
むしろ、そんな人間はいないです。
人間は一般的に、自分のことを知るのが最も難しいものですから。
ただ、特別な訓練経験がなくとも、ある程度の自己認識力は誰もが持っているものです。
ですから、通常は「それが弱い」こと自体を問題視することはあまりなく、カリキュラムを手順に従ってこなしていく中で、自然と自己認識力が伸びていくやり方をします。
問題は、それに当てはまらない生徒が稀にいるということです。
症状には2パターンあります。
ひとつは、自己認識力が何らかの理由で完全に欠落しているケース。
実際のところ、このような生徒は塾にはいません。勉強に対して、なんらかの必要性を感じているから塾に通うのであって、その必要性を認識できている時点で、ここには該当しないからです。親に無理矢理連れてこられて、、というパターンはありますが、ここで学ぶ必要性を本人が感じていないのに入会していただくことはないです。
もうひとつは、自分の立場を守ることに必死すぎて、まわりを見ようとしないケースです。
思春期ですから、ご両親に対してそうなってしまっている生徒はめずらしくありませんが、客観的な立場の人間である私たちに対してもそうであるとすると、症状としては重症です。
典型的なやり取りは以下のようなもの。

<例1>
先生 「勉強きちんと出来ていなかったよね?」
生徒 「やっていました」

<例2>
先生 「今回の期末試験結果(18点/100点)について自分でどう思う?」
生徒 「良かったと思います」

簡単な認識のすり合わせの時点ですでに話が合わず、まともな会話にならないのです。
このような反応を示す生徒に対して強引に話を進めても、「やった、やってない」の水かけ論になるだけなので、いったん撤退です。自分とその生徒との間に何か思い当たるようなことがあれば良いのですが、そういうことがない場合は、解決には時間を要することがほとんどです。
「良い/悪い」程度の大ざっぱな捉え方で構わないので、客観的な状況から示される本人の状態と、本人が自己認識する状態が、きちんと一致すること。
「勉強以前の問題」ですが、これが成立しない生徒は非常に手強いと感じます。


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