Vol.262 これをやると、やる気はゼロになる
2022年06月21日更新
「どうすれば子どもはやる気になりますか?」
実はこの質問、正確に回答しようとすると心理学に基づいた「動機付け理論」のお話になります。
やる気アップをそのように「動機付け」ととらえてしまうと、解決は途端に難しくなってしまいます。
それが簡単にわかるなら、世の中、こんなにたくさんのリーダーシップやマネジメント、組織論に関する書籍があふれているわけがないのです。
そのため私は、この質問を脳内で以下のように変換しています。
「どうすれば子どもは自分から進んで、(今より)たくさん勉強するようになりますか?」
塾の先生への質問としては、この意味だと思うのですね。
このようにおきかえると、私は明確に回答することができます。
本質的な解決策は1つ、それは結果を出してあげることです。
塾としては「必要勉強時間を確保できていること」を「やる気」がある状態と定義しており、実務的な解釈としては、これで充分です。
今回は「勉強時間(≒やる気)」を増やす方法ではなく、これを削り取る方法について書きます。
方法は難しくありません。
子どもがまさに今から勉強しようとする瞬間に、「勉強しなさい」と声をかければ良いです。
学校のかばんを出してきたな、と思ったら「勉強しなさい」。
ゲームを止めて2階の自分の部屋から下りてきたな、、と思ったら「勉強しなさい」。
今まさに教材を机の上に広げた瞬間に、、、「勉強しなさい」(笑)
さすがに、そんなことはないと思われるかもしれませんが、子どもの立場からすると、世の中の多くの親はこれをやっています。
なぜなら、親から見て子どもが家でダラダラしているように見える時間の多くは、子どもからするとまさにこれから勉強しようとしているタイミング、だからです。
結局、そのまま勉強せずに1日を終えてしまうことを親は知っているからこそ、声をかけたくなるわけですが、この時間は子どもからすると「やろうと思っているけど行動できない」で逡巡している時間。ダラダラしながらも、自分なりに「やらなければ」とは考えているのです。
ここで親に「勉強しなさい」と言われることほど、子どもにとって嫌なことはありません。
少し考え方を変えてみましょう。
勉強をさせようと働きかけるのではなく、勉強が楽しいと思えるようにするために親はどんな働きかけをしてあげるべきでしょうか。
楽しさの正体については、過去にブログ記事にしたことがあります。
答えは主体性を引き出すこと。
「勉強しなさい」と言ってしまうことはこの逆。子どもから勉強の楽しさを奪ってしまう、最もやってはならないことの一つだと私は考えています。