Vol.265 師匠選びの基準
2022年07月12日更新
中学生や高校生はもちろん、大学生や社会人を見ていても、「それはどうなのかな、少なくとも今の自分があなたの立場ならそうはしないけどな」と思うことが多々あります。
持っている「情報」が変われば、そこから導かれる正解も変わります。
ちなみにここで言う「情報」には、学ぶことで知る情報→「知識」、体験することで得る情報→「経験」、の2つがあります。
将来の自分からみて大正解となりえる決断や行動というのは、その時点の自分にとっては違和感を覚えたり、避けたくなるようなものであることも少なくありません。
「成長した自分」と、「今の自分」では求めるものが違うからです。
例えば、高校に入って初めてチームを率いる経験をし、どうやって人をまとめたらいいのかわからなくて苦労した。部長として臨んだ試合の結果も散々で、悔し涙を流した・・
という経験をする前の、中学生の陽介くんは「リーダーシップ経験」についてあまり深く悩んだ経験がありません。目の前の受験勉強のことで頭がいっぱいという状況です。
その彼が、中学3年生のときに文化祭の実行委員長をやってみないかと先生に声をかけられていたとするとどうでしょうか?
中学生の彼であれば、「やらない」となる可能性が高いと思います。
しかし、高校生の彼であれば、「やるべき」と思うかもしれません。
つまり、中学生の陽介くんに未来の正解は選べないのです。
ですから、人生の選択をすべて子どもまかせにすることには多少の問題があります。
中学校受験をさせてみる、英会話教室に通わせてみる、少年野球のチームに入れてみる・・
子どもが小学生であれば、親がそういった決断に関わることで、そのときの子どもには思いつかないような体験をさせているケースも多いことでしょう。
大人になってから、「親にあのとき、そうしてもらって良かった」と感謝する人も多いと思います。
しかし、中学生以上ともなるとどうでしょうか。
親が「これをやってみては?」と勧めても、なかなか思い通りにはならないようになります。
本人の理解を超えるレベルの体験を、親が説得して取り組ませることが急に難しくなります。
自立期ですから、「親の言いなりにはならないぞ」という感情が生まれてくるのは自然なことですし、この時期の子どもたちにはそういう前提で接してあげたいものです。
ベストなのは、親以外の尊敬できる大人が身近にいることです。
本人のレベルでは到底選べない「大いなる決断」を後押ししてくれる、師匠がいると理想的です。
その決断や行動に真剣に取り組むことがなぜ正しいのか、その時点の自分には理解できないけど、「この人が言うことだから間違いない、信じてがんばってみよう」と思えるような人の存在です。
これは、他人依存の人生に見えますが、「その人を信じる」を決めているのが本人なのであれば、決断の主体は本人であり、他人依存ではありません。
出会う人によってしか、人は変わらないと私は考えています。
「人生が変わる」レベルの体験をするためには、自分の目線以上の決断や行動を後押ししてくれる誰かの存在が不可欠だからです。中学生や高校生くらいの時期に、そうした人に出会うことが出来れば幸運なのですが、そもそもそういう人に出会えない人も多いものです。
しかし、ただ待っているだけでは、完全なる運まかせ。
本気で人生を良くしたいと考えているのであれば、自分から積極的に探しに行くべきです。
どんな人を探せばいいのか、いくつか方針はあるので、参考にしてください。
<選ぶ基準>
・その人が、自分が望む結果を出している
・その人が育てた人が、自分の望む結果を出している
・複数分野で結果を出している
・自分より2階層上の属性である(中学生なら大学生、高校生なら社会人)
・階層が上の人の評価が高く、信頼されている
・「強み」や「弱み」、勝ちパターンが自分に似ている
・会いたいと思ったときに会える人
・厳しいこともきちんと言ってくれる人
すべて満たす必要はありません。
2つ以上で検討ライン、3つ以上ならほぼ間違いないと思います。
「すごい人の言うことしか聞かない」みたいなのは典型的なダメなタイプで、普通は、そんなにすごい人が何者でもないあなたのために時間を割いてくれるわけはないのですから(もし、そんな幸運があったなら必死にしがみつくべきです)、こう考えている時点で、実質的には誰かから有益な学びを得ることは難しくなります。
ぜひ身近なところからこうした人を探し出してみてください。