Vol.272 成果と成長
2022年08月30日更新
仕事は通常、「成果」を目的とした活動です。
本人の「成長」も大切だけれども、それ自体は活動の目的ではありません。
評価はあくまでも、本人の出した「成果」に対して行われます。
勉強は仕事とは違います。
活動の目的は本人の「成長」ですから、「成果」だけがすべてではありません。
極論、「成果」ゼロでも活動の目的は果たされるということはありえます。
受験はどう考えるべきでしょうか?
受験勉強は仕事ではありませんが、特定校に合格することを第一目標にがんばりたいというのであれば、「成果」を目的とした活動になります。
プラスジムは、高校受験と大学受験で考え方を分けています。
高校受験は「成長」を優先し、大学受験は「成果」を優先して受験指導を行っています。
成績も伸びるし(=成長)、合格もする(=成果)。それがベストなのはわかっていますが、どちらを活動の主目的と考えるかによって、選ぶべき方針が真逆になることがあります。
それぞれで方針が真逆になるのは、以下3つだと考えています。
・「苦手(弱み)」との向き合い方
「成果」を優先するのであれば、自分の苦手分野で勝負することは絶対に避けるべきです。
面接が苦手なのに総合型選抜入試(旧AO入試)に挑戦するべきではないし、現代文が苦手なら現代文の配点比率がなるべく低い大学を選んで受験するようにします。
「成長」を優先するのであれば、それが得意か不得意かは関係ありません。
苦手なことへの挑戦の中から、相対的に自分が何に優れているのかの気づきを得ることもありますし、あきらめがついたりもします。
自己理解が深まることは、本人にとって最高の「成長」であると私は考えていますが、自己理解が最も進むのは得意なことに挑戦しているときよりも、苦手分野に挑戦しているときです。
・手段への「こだわり」の持ち方
「成果」優先で考えるのであれば、手段への「こだわり」は持つべきではありません。
勝負のルール上問題がないのであればどんな手段でも積極的に採用を検討すべきです。伝統や義理人情といった要素は多くの場合、「成果」を出す上での足枷になります。
「成果」を出す人とは、最も合理的な手段はなにかを常に考え、ときには冷徹な意志でそれを迷いなく選択できる人です。
「成長」を優先するのであれば、やり方(手段)には「こだわり」を持つべきです。自分が決めたルールや価値観に従い、継続的に行動することによってしか、「なりたい自分」にはなれません。
・「努力」についての考え方
労せずして勝てる道、それが最も生産性の高い活動です。「成果」優先で考えるのであれば、選ぶべきはこうした活動であり、「努力」だけで何とかしようという発想それ自体が間違っています。
その一方、「成長」をその活動の目的とするのであれば「努力」は大いに意味があります。労せずして勝てる道ではなく、「努力」しなければ勝てない道をあえて選択させることもあります。