Vol.274 守りの戦い
2022年09月13日更新
「都立受験コース」においては、4月から9月までの前半戦において、全員が偏差値を伸ばすための「戦略」に基づいた勉強をします。
これを「弱者の戦略」と言っています。
その方針については過去にブログにもまとめました。
平均偏差値が10以上伸び、目標校の偏差値基準に届く生徒も多くみられるようになりました。
この瞬間、生徒は、弱者から強者へと立場が逆転したことになります。
攻める立場から、守る立場になるのです。
上の記事にも書いていますが、強者と弱者の戦略方針は真逆です。
強者の方針は「全面展開」、弱者の方針は「一点集中」です。
どちらも大変なのですが、精神的に削られやすいのは「守りの戦い」となる強者側かなと個人的には思います。「全面展開」するためにはリソース(≒勉強時間)が必要ですし、失うかもしれないという不安の方が一般的にストレスは大きいものだからです。
であれば、常に「一点集中」の弱者の戦略でどんどん上を目指せばよいようなものですが、お話はそう単純でもありません。「弱者の戦略」は、劣勢な局面において、勝率を高めるために採用する戦略。爆発的な効果を見込めることもある代わりに、状況がさらに悪くなってしまうというリスクも当然あります。受験生全員が必死になる後半戦においては、成績の下がるリスクはさらに増大することになります。「都立受験コース」においては、東京都の公立中学3年生の前半は「この時期、この戦い方をすればほぼ勝てる」という稀有な局面※だからこそ、「弱者の戦略」を全生徒に採用しています。(※プラスジムで中高6年間を通じ、全員に「弱者の戦略」を適用するのは、その数か月だけです)
受験後半戦において、「弱者の戦略」を採択しにくいのにはもう一つ理由があります。
受験校選びは通常秋頃までの成績を基準に行うため、「これから伸びるかもしれないけど、下がるリスクもある」という状態では、いつまでも適切な受験校選びができません。
受験校が定まらないと、作戦の詳細が決まらなくなります。
「強者の戦略」であれば、その目的は現状の成績維持ですから、そうした問題は生じません。
いまの成績で勝負できる学校を探し、合格に向けての準備を進めるだけです。
そうした理由により、大半の中学3年生はこれからの時期、「強者の戦略」に基づいて受験勉強を進めていくことになります。
繰り返しとなりますが、強者の基本方針は「全面展開」。
日々の学習において、全方位的な配慮、学習量が必要になります。
そこで必要になってくるのが量に対応するための「勉強体力」。
夏休み、1日10時間の勉強を乗り越えた生徒たちだからこそ、この新しい局面にも適応できる、というわけです。