
Vol.286 才能と努力
2022年12月06日更新
毎週のように説明会をしていますが、12月4日(日)はプラスジムに通塾されている中学2年生保護者様向けの高校受験説明会でした。
ご兄弟姉妹が通われていた関係で、半数近くの方が受験コース経験保護者様でした。
非常にありがたく思うと同時に、身の引き締まる思いです。
高校受験を一度経験された方はよくご存じだと思いますが、中学3年生はこの時期が谷の底。
「二度と高校受験させるものか!」くらいに思われていた方もいらっしゃるのではないかと思いますが(笑)、ここから受験までの間、多くの子どもたちは人生最大のがんばりをみせてくれます。
高校受験生の親として一番つらい時期は過ぎましたので、ここからは子どもたちの成長を楽しみに温かく見守っていただければと思う次第です。
中学2年生の保護者様は、そんな来年1年をぜひ楽しみにしていてください。
「努力」すればどんな子でも東大に合格できるのか?
というのは、多くの親が一度くらいは考えたことのあるテーマなのではないかと思います。
答えは、残念ながら「NO(できない)」です。
ずいぶんと昔にはなりますが、芸能界を引退された島田紳助氏がまだ健在であった頃、吉本の若手芸人を集めて行った講義があります。いかにして厳しい芸能界で成功するか、といったようなことがテーマなのですが、この講義が非常におもしろい。『紳竜の研究』というタイトルのDVDに収録されています。この講義、昔は「知る人ぞ知る」といった感じだったのですが、いまはYouTubeで検索すれば簡単に視聴できます。
講義の中で、紳助氏は「才能と努力」という話をされます。
「世の中の人間、才能は0から5までの6段階ある、その才能に0から5まで6段階の努力をかけあわせた結果として、どこまでいけるかが本人の実力や。」といった主旨の内容で、「才能」5の人間が「努力」を5すれば、5×5で最高点の25を取れるといった理屈になります。
シンプルな理論ですが、勉強の世界でもこれは当てはまります。
東大合格には25点満点が必要とまでは言いません。しかし、15か20かわかりませんが、それなりの数字は必要です。ですから、仮にその子の勉強の「才能」が1しかなければ、どれだけ「努力」をしたところで、最高点は5までしか届かず、東大合格は無理です。
ただ、ここからが難しい点なのですが、その子がどれだけの「才能」を秘めているかが事前に完全にわかるわけではありません。やってみなければわからない面もあるため、やってみたら(本人に「才能」があって)出来てしまったというケースも意外に多いのです。
その理屈で言えば、「誰にでも東大合格できる可能性はある」という結論になります。
「才能」の芽の出方には個人差があります。
最初から勉強得意な生徒はいいのです。
問題は、後になって才能開花するタイプの生徒。
親にせよ、先生にせよ、成長を信じて待つ以外になく、それはまさに忍耐の日々です。
結果として、花が咲かないことだってあります。どんなにつらい現実が待っていたとしても、人生は続きますから、前を向いて歩かなければならない。
しかし、誰よりも「努力」した子が確実に手にすることのできる成果もあります。
もっとも価値あるものの一つは、「努力」とはどういうことかを体験できたこと、知っていること。
次こそは、自分が「才能」ある世界で、その5の「努力」をかけ合わせればいい。
勉強や受験は、社会に出る前にそういうことを教えてくれる大切な機会なのです。