Vol.288 メンタルの問題

Vol.288 メンタルの問題



2022年12月20日投稿
2022年12月20日更新



「都立受験コース」では、わずか数か月で生徒の大幅な学力向上を実現します。
それはとても良いことのように思えますが、急激に成績を伸ばすことには副作用もあります
宝くじに当選した人は、その巨額の当選金を上手く扱いきれず、逆に不幸な人生を歩むことになってしまうことも多いようです。お金に限らず、飛びぬけた才能や名声など、その影響力に相応のメンタルが同時に備わっていなければ、扱いきれなくなるということなのだと思います。
受験勉強の場合、不幸なことが起きるわけではありませんが、急に成績が伸びた後、メンタルを原因とした成績の乱高下現象というのが一部の生徒に見られるようになります。
偏差値が10以上も上がったり下がったりするなど、通常はあまり考えられないことですが、そういうことが起きるのです。
だから、勉強においてもスポーツ同様に心技体をバランス良く鍛えることが大切。

勉強の心技体

目に見えない分、軽視されがちなのが「心」で、メンタルの問題はここに含まれます。
ここに原因があるのに、勉強量や勉強内容に問題があるのではないかと疑い、余計に生徒のメンタルを悪い方向に追い込んでしまうケースもあります
メンタルが原因で脳を上手く使えていないとき、脳をスキャンすると「大脳辺縁系」と呼ばれる部位に血流が集中してしまっているそうです。ここは情動など人間の本能的な働きを司る部位なのですが、ここに血流が集中してしまうと、「前頭葉」があまり機能しなくなります。
脳内において、我々が「知性」と呼ぶもののほぼすべてはこの「前頭葉」が扱っています。当然、試験で使うべきなのも「前頭葉」です。試験で高い点数を獲りたければ、ここに血流が送られなければならないのです。脳のどこに血流を送るかなど、もちろん意識的に行えるはずもないのですが、どうなると「大脳辺縁系」に血流を集中させてしまうかはわかっています。
本人に強い「不安」や恐怖心があると、そのようになります
長年かけて育ててきた「自信」であれば、あまりそうしたことは起きません。
しかし、数か月という短期間で大きく成績を伸ばすと、メンタルが弱い子を中心に「自分は、本当はできないんじゃないだろうか?」という不安が頭から離れなくなり、試験になると頭真っ白になる(=大脳辺縁系に血流が集まる)現象が起きます。数学の基本問題で何問もミスをしてきたり、英語長文問題が1問も解けなかったり、答案用紙が空欄ばかりだったり、信じられないような試験結果を生徒は持ち帰ってきます。
ただ、これも我々からすると想定の範囲内の現象ではあります。
だからこそ、ここから受験までの後半戦、より生徒のメンタルケアに重きをおいた企画が増えてきます。短期間で成績を伸ばした生徒に関して言えば、ここから先は「メンタルがすべて」と言ってもいいくらいです。
結果として、受験を迎える頃には、そこまで大きく点数が崩れる生徒は出ないようになります。


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