Vol.298 合格発表前夜、親の心構え
2023年02月28日更新
塾長ブログも残すところ、あと3記事となりました。
1年以上前にそのことは決めていました。
300記事もよく書くことがあったなと自分でも思いますが、実は書きたいテーマはまだまだ残っています。いったんこの形式はリセットしますが、今後も何らかのかたちで自分の考えを発信し続けていきたいなとは思っています。
さて、明日、2023年3月1日(水)は都立高校の合格発表日です。
合格発表を待つ親はどんな心構えで臨むべきなのかを書いてみたいと思います。
まず前提として押さえておきたいことがあります。
真剣に受験勉強に励んできた子どもに限りますが、合格発表日は一生記憶に残るくらい大きなライフイベントです。そんな日に親からどんな言葉を言われたかを、人によっては受験の思い出と一緒に一生忘れずに覚えています。
そのことで信頼関係を深める親子関係もあれば、このときの関わりがその後の親子関係に致命的なダメージを与えてしまう場合もあります、実際にそうした事例も何度かみています。
脅すわけではありませんが、言葉選びには相当気をつけてください。
事故が起きるのはもちろん不合格の場合です。
しかし、方針は何も難しいことではないのです。
子どものこれまでの努力を否定しない、ただそれだけです。
しかも、失敗のパターンはほぼ共通しています。
子どもが不合格になって、「ほれ、見たことか!」という言い方をする親がいるのです。
これは考えうる限り、最悪のひと言ですが、親には親でこう言いたくなる事情もあります。
何度も何度も「勉強しなさい」と言ってきた。しかし、子どもは親の言うことにはまったく耳を貸さず、自分勝手な行動ばかり。「本当に大丈夫なのか」と何度聞いても、いつも「何とかなる」とか根拠のない適当な返事しかしない。しまいには不合格。
親からすると自分の言ってきたことの正しさが証明されたわけですから、不合格を根拠にして自分の正当性をここで突きつけるのです。
この議論に、子ども側に勝てる要素は一切ありません。
不合格が動かぬ証拠です。
しかし、「試合に勝って勝負に負ける」とはまさにこの事。
たしかにいたらなかった点はあったかもしれない。
親の言う通りです。間違いなく、大人が正しい。
でも、相手はまだ未熟な子どもです。
自分なりに努力してきたこともたくさんあったはずだし、親が見えていないところでたくさんの葛藤や悩みを抱えながら生きてきたわけです。思春期というのはそういう時期ですから。
親からすると、「これで私の言うことが正しいってわかったでしょ(だから、今後はもっと私の言うことを聴きなさい)」と思ってのひと言なわけですが、子どもからするとそんな風に思うはずはなく、「自分の親は何もわかっていない」とますます親と話さなくなります。
こうなってしまうと、子どものせっかくのここまでの頑張りも、親の苦労もすべて水の泡。
それだけはしないでいただきたいなと思います。
では、どんな関わり方が良いのか。
正解は子どもの感情に「共感」をしてあげることです。
嬉しいときは嬉しいし、悔しいときは悔しい。
合格はそれだけで良いのですが、気をつけたいのは不合格のとき。
いつまでも子どもと一緒に気持ちを沈めていたのでは、子どもも立ち直れなくなります。
精神的な立ち直りは親が先でなければならないです。
そうでないと、再び前を向いて頑張り始める子どもの足を引っ張ってしまうから。
なにか良いことを言ってやろうとか、そんな風に思う必要はないです。
そのとき、どんな言葉が適切かは、状況によって様々ですから一般化することも難しい。
「あなたはこれから先も大丈夫」と信じている親が横にいてくれていることが子どもにとっては一番心強いし、何よりありがたいことです。
そうした関わり方をしてもらった日のことを、子どもは一生忘れないでしょう。
塾長ブログを書き始めてからの6年。
毎年、この時期には合格発表と向き合う「心構え」を書き続けてきました。
明日を迎える方の心の準備となれば良いなと思い、それらの記事を最後に共有しておきます。
2017年
平成29年度都立高校合格発表を終えて
2018年
信じるものは救われる
2019年
受験の重要性を子どもが理解できない理由
2020年
そして3年後
2021年
真の勝者
2022年
挑戦する勇気
大人になるまでの出来事のすべては通過点。
どんな結果が待っていても、その先、心に描いた未来は願ったとおりに叶えられていきます。