Vol.033 その受験に戦略はあるか?
2024年08月21日更新
合格のための「戦略」を考えることのできる中学生はほぼ皆無。
高校生でも2割弱といったところでしょうか。
大半の受験生には「戦略」などありません。
もし、読んでいるあなたが受験生なら、聞いてみたいと思います。
「戦略とはなんですか?」
どうですか?自信を持って答えられますか?
まず出てこないのではないかと思います。
ちなみに、受験に「戦略」は必須ではありません。
戦争でも政治でも経営でも、「戦略」がないから必ず失敗するというわけではないです。
しかし、「ある状況下において」戦略は必須であり、それをなくして勝つことは不可能です。
では、「ある状況下」とはどんな状況でしょうか?
一言で言えば、
自分が不利なとき
です。
例えば、バスケットボールの総合力で相手チームの方が明らかに上回っている場合、戦略抜きで勝つことはできません。総合力で自分のチームを上回る相手にどう勝つかというと、自分のチームの「バランスを意図的に崩す」作戦を立てることになります。
「意図的に崩す」とは、例えば以下のようなことです。
<いつもの戦い方> 「一人につき、敵チーム一人をマークする」
<バランスを意図的に崩す戦い方の例> 「3人で敵チームの主将をマークする」
後者のような戦い方は、たしかに気持ちが悪いですし、不安になります。
しかし仮に、「敵チームは全ての攻撃の起点がA主将」になっていて、A主将さえ活躍させなければ勝てる、という状況なら、後者の戦い方は非常に理にかなっています。
ここでは「相手の方が強い」という前提条件を想定しているので、普通に戦っても勝てる見込みはないということがポイントです。
DとEの選手をフリーにしてしまうのは、とても怖いですが、そこは仕方がないと割り切る。
これが弱者側の戦略の基本的な考え方です。
つまり、以下のことが言えます。
(弱者の)戦略とは何かを意図的に捨てること
「あれもこれも」できるに越したことはないですが、現実的にそれは不可能なので「何かをしないことを決める」これが弱者の「戦略」の基本です。
(強者側の「戦略」は「優先順位を決めて全部やる」となることが多いです)
実は、この弱者の「戦略」は、教師が日々の授業で生徒に求める姿勢と矛盾します。
ここに仮に非常に戦略的な考え方をする中学生がいたとしましょう。
教師
「受験まで残り3か月。今日の英語の授業もがんばろう!」
生徒
「苦手な英語は捨てた」
これでは、引き出せるものも引き出せなくなってしまいます。
弱者の「戦略」は発展途上の生徒にとっては劇薬であり、使い方を間違えると成長が止まってしまいかねません。ですから、教師の立場としては生徒に「戦略!戦略!」とは言えません。
しかし、繰り返しとなりますが、自分が不利な戦いにおいて「戦略」は必須なのです。
普通に戦えば、強い側や有利な側が勝つのが当たり前だからです。
学力に関して言うなら、成績の序列は決して変わらないという意味です。