Vol.165 勉強の心技体

Vol.165 勉強の心技体



2020年08月04日投稿
2024年08月27日更新



学習塾の役割は「設問の解法」を教えることではありません。
次々と単元は進んでいくわけですから、どれだけ「設問の解法」を教えたところで焼け石に水、根本的な解決にはいたらないのです。
では、私たちが担うべき本当の役割はなにか?
それはこの生徒が、「自力」で「設問の解法」にまでたどりつけるようにすることなのです。
この「自力」は以下の3つの要素で構成されています。

一つ目は、勉強に対する「考え方」です。
勉強に対する「考え方」は生徒によって本当に千差万別。問題を解けるようになるまで粘り強くがんばることが大切と思っていない生徒も多くいます。
解けるようになる必要性を本人が感じていなければ、自分のやりたいことを我慢してまで「設問の解法」を知ろうとするはずがありません。
二つ目は、勉強の「技術」です。
いくら本人に解けるようになりたい気持ちがあっても、「わからない」を「わかる」に変える手順を知らなければ解法にまでたどりつくことはできません。先生に質問できる「技術」などもここに含まれます。そうした手段を自分が思いつくというのも、立派な「技術」の一つです。
三つ目は、勉強の「時間」です。
生徒は『フェルマーの最終定理』のような誰も解けなかったような難問に挑戦しているわけではありません。少なくとも小中学校レベルの問題であれば、じっくりと時間をかけて問題と向き合えば、だいたいは自分の力でも解法にたどり着けるように作られています。解法を発見するまでのモヤモヤとした時間に耐えうるだけの根気があるかないか、これが大切です。

「勉強に対する考え方(心)」、「勉強の技術」、「勉強時間(勉強体力)」。
本人が伸びていくために必要なのはこの3つです。
わかりやすいので最近は、これらを「勉強の心技体」として人に伝えています。
学習塾においては、設問の解き方を「教える」というよりもこの3つの力をバランス良く「鍛える」という観点で指導していくことが大切です。
指導に優先順位をつけるのであれば、間違いなく「勉強時間」が最優先です。
「勉強時間」が確保できていない生徒にいくら「考え方」や「技術」を教えても効果はあまり期待できないからです。しかし、ここが最も難しいのですが、本人の目的意識がない状態で「勉強時間」だけを強要すると、「考え方」や「技術」が劣化します。「どうせやっても無理」と言うようになったり、「やっているふり(形式的な勉強)」がどんどん増えていきます。
そうしたことが起きていないかどうかに目を光らせつつ、「勉強時間」を増やしていくように働きかけていかなければなりません。


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