Vol.235 塾長ブログやめます

Vol.235 塾長ブログやめます



2021年12月14日投稿
2021年12月14日更新



年末も近づき、デスクの整理整頓をしていると、その昔、私が書いたメモが出てきました。

インターネットやスマートフォンで通信講座が受けられる時代に、あえて塾に通う意味。
それは塾が提供する「場」にある。
同じ目標を目指す仲間が集まる教室では、競い合うことが自然にやる気を引き起こす。ライバルの存在が「あいつに勝ちたい」と思わせることもあれば、気分がたるんだときに周囲をみて「これはやばい」と気持ちを切り替えるきっかけにもなる。子どもの成績を最も左右する「やる気」を引き出すのはスマートフォンではなくリアルな教室なのである。
また健全な競争の中では、子どもたちが一時的に嫉妬心や挫折感を味わってもすべて成長の糧となる。さらに受験という濃密な時間をともに過ごすことによって連帯感とコミュニケーション能力を高めることにもつながる。塾は成績だけでなく「人間力」も高める場なのだ。
思春期の子どもを抱える親は悩みや不安が尽きないもの。自宅の一人部屋で鬱屈し、親子関係もギクシャクしてしまう家庭は少なくない。
だからこそ、塾という場で子どもが心身ともに健全に成長することが、ひいては親の精神衛生面でもポジティブに働くのである。

書いた日は2015年11月19日。
これを書いたおよそ半年後に集団指導を加えた「都立受験コース」が始動、そのさらに半年後に「塾長ブログ」を更新するようになりました。自分でも書いたことをすっかり忘れていましたが、この手記が原点であり、「都立受験コース」の始まりです。
いま読み返しても、その通りと思います。
当時は個別指導のみの指導体制に限界を感じ、悩んでいた時期でもあります。それと同時に、思春期の子どもたちとの関わり合いに悩む保護者様にどうにかお役に立てることはないかと試行錯誤をしていた時期でもありました。「オンライン授業」ではなく「通信講座」な点に時代の変化を感じますが(笑)、「スタディサプリ」のような新しい教育IT系サービスがどんどん生まれ、学習塾としての役割や存在意義について強烈な問題意識を抱いていた時期でもあります。
それから6年・・・。
「人間力」という言葉はあまり使っていませんが、生徒たちの何を育てたいと願い、どういう思いでこの仕事と向き合っているのかを、塾長ブログに書き続けてきました。定期的に受験生保護者様向け説明会も行うようになりました。
そして、私が手記に書いた問題意識をかたちにしたのが、「都立受験コース」です。
「勉強よりもはるかに大切なことがある」というのが教育者としての信念ですが、塾屋としてそれを言い訳にすることはしたくないと思い、このコースでは偏差値UPにこだわり続けてきました。
「都立受験コース」起ち上げのもう一人の主役、初代リーダーの廣岡は、今年の夏、全国最大手の予備校で、日本一受験生の成績を伸ばした校舎責任者として表彰されたようです。1000校舎以上ある中での1位ですから、いかに彼の実力が優れたものであるか、おわかりいただけるのではないでしょうか。廣岡の意志を継いだ現リーダーの宮武、北村、近藤の3名も実力的には彼に負けていません。廣岡の卒業後も、偏差値UPという点で彼がいた時代と遜色のない成果を出し続けています。
プラスジムは1教室体制であり、比較対象がないことが残念でなりませんが、「都立受験コース」はこの廣岡が築き上げた圧倒的な指導水準が土台にあるのです。少なくとも私自身、生徒全員の平均偏差値を10伸ばし続けている教室など見たことも聞いたこともありません。高校受験コースとして日本有数のレベルになっていることは間違いないと思っています。

その一方で、反省もあります。
本音を言えば、反省ばかりです(笑)
2023年2月、プラスジムは開校から10周年を迎えます。創業時の予定では10年後には複数の教室があり、より多くの生徒たちの人生に貢献しているはずだったのですが、プラスジムは今になっても久我山1教室体制から脱却することができていません。
質的な面でも反省は尽きないです。とりわけ、中学3年生の「都立受験コース」が存在感を増せば増すほどに、他学年との整合性に悩むことになりました。「都立受験コース」は勉強だけに専念できるからこそ実現可能な指導形式です。部活動や他の習い事で忙しい他学年の生徒に同じ指導内容を提供することはできません。私の理想は、中高六年間を一つの単位ととらえ、一貫性のある指導サービスを構築することです。このあたりのことは、2016年11月の塾長ブログ記事にも書いています。そもそも、「都立受験コース」は高校合格を目的としたコースですらありません。高校受験は通過点であり、生徒の学びの人生はそこからが本番。高校受験という追い風を使って、その先の高等教育に対応できる生徒を育てたいというのが、「都立受験コース」設立趣旨です。
高校の勉強は甘くありません。何事も積み上げるのは時間がかかりますが、崩れるのはあっという間。ここ数年間、私が授業や面談といった直接的な生徒指導を行わなくなっていたこともあり、高校生になってからも継続して努力し続けることの意義を伝える機会が減ってしまっていました。
このあたりの塾としての連動性を取り戻すことが2022年の課題であり、開校10周年に向けた最終的な仕上げということになろうかと思います。

さて、そんな中、本題ですが、長年書き続けてきた塾長ブログも次を考える時期です。
今のペースで更新を続けると、2023年3月14日(火)に300号となるのですが、それを最終号とする予定です。
実は、その日は私の45歳の誕生日です。
60歳をキャリアの一つのゴールと捉えると残り15年。自分がこれまでの人生で得てきたことや学んできたことをかたちにする人生の集大成とも言える15年にしなければなりません。これまでの塾長ブログ記事は、45歳以降の私の原材料となります。過去の記事を分解して再構築して、もう少し読みやすい形式で、子育てのお役に立てる情報をお届けできればと考えています。
情報発信自体を止めるつもりはないということです。自分が書籍で学んできたため、書籍のような文体で書いてきてしまいましたが、いまやこのブログは大半の方がスマホで読んでくださっているんですよね。塾長ブログはスマホで読むには文章が長すぎますし、もう少し読みやすい形式の方が良いのではないかと考えています。最近はVoicyのような音声メディアも出てきていますので、音声での情報発信にも挑戦したいです。

300号まで残り65記事。
毎週火曜日、1記事1記事をより大切にして、ここからの歩みを進めてまいります。
これからもプラスジム、ならびに塾長ブログを何卒よろしくお願いいたします。


この記事をシェアする