Vol.260 塾経営成功の秘訣
2022年06月07日更新
数年前、ビリギャル※著者の坪田先生の講演会に参加させていただいたことがあります。
そこで坪田先生がこんなお話をされていました。
塾を開業される前、「学習塾経営を成功させるにはどうすれば良いですか?」と様々なベテラン塾経営者に聞いてまわられたらしいのですね。
「そこで出てくる回答は、皆さんほとんど同じだった」と。
それは、
「成績優秀な生徒をいかにうまく集めるか」
だったそうです。
そのとき、「成績優秀なら、そもそも塾いらないのでは?」と疑問に思ったとおっしゃっていました。
この点、私もまったく同感です。
一部の塾予備校には、成績優秀な生徒を優遇する「特待生制度」というものがあります。
実際、プラスジムで講師をしている東大生からもそうした話はよく聞きました。
特待生制度を公にしているところもあれば、公にせず、こっそり案内が来るケースもあるようです。
成績優秀な生徒を集めるための施策であることは間違いありません。
つまり、そういう意図をもった塾や予備校がたしかに存在しているということです。
では、なんのために??
公益のためではないと思います(笑)
成績優秀な生徒を集めるメリットはたしかにあります。
「合格実績」と思われるかもしれませんが、それだけではないのです。
第一に、塾のイメージが良くなります。
親の目からみて、「こんな風になって欲しい」と思える生徒がたくさん通っている塾と、問題児ばかり集まっている(ように見える)塾。自分が親なら通わせたいのはどちらですか?というお話です。
第二に、授業運営が圧倒的にラクになります。
宿題を出せばきちんとやってくる、欠席や遅刻がない、下手な説明でも勘が良いので理解してくれる、ノートのまとめ方など基本的なことを教える必要がない、先生の話をよく聞く、素直な子が多い、、と挙げるとキリがありませんが、授業運営の負担が少ないのは事実です。
第三に、保護者様対応がラクになります。
本人の成績に問題がないわけですから、「あとは本人の望むまま、良きように」となる保護者様が多いです。「良きように」でも、その先はそれなりの進路なので、親側からすると不安がないのです。あとは本人がきちんとやるだろう、という子どもに対する信頼もあります。結果として、塾まかせとなることが大半で、こちらとしてはあまり苦労もしていないのに、大変感謝してくださって通塾期間を終えることになります。教育にご理解があって、何かと協力的な保護者様が多いのも特徴的です。
経営者としてみれば、成績優秀な生徒を集めるというのは悪くないやり方なのでしょう。
そのこと自体の是非を論じるつもりはありません。
ただ、私が「良くないな」と思うのは、そうでない生徒が来たときに塩対応をして、生徒や保護者様を失望させている塾や予備校があるということです。
そうしたお話を聴くたびに同業者としてがっかりします。
私は、来ていただいた生徒が「成績優秀かどうか」にはまったく興味がありません。
綺麗事でもなんでもなく、プラスジムはそういう塾です。
塾のカリキュラムについてこれるかどうか、最低限の学力の有無は気にしますが、それだけです。
どれだけ成績優秀でも、お役に立てる余地がないと思えば、入塾はお断わりします。
学習塾の価値は、「どれだけその生徒の成長に貢献できたか」にあると思います。
だからこそ、可能性を秘めているのにダラダラと生きている子をみるとワクワクします(笑)
いまこそ、私の出番だと思うからです。
※ビリギャル=『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』・・ベストセラーになり、有村架純さん主演の映画も大ヒットしました。