Vol.263 自信が先か、結果が先か

Vol.263 自信が先か、結果が先か



2022年06月28日投稿
2022年06月28日更新



一方が生まれるためにはもう一方が存在していなければならないという辻褄の合わない状況をたとえる表現に、「卵が先か、ニワトリが先か?」というものがあります。
生徒の「自信」と「結果」において、同じ議論に陥ることがあります。
「自信」がないから「結果」が出ない、「結果」が出ないから「自信」がない、となってしまうのです。
この状況、結論から言えば、「結果」を先に出す必要があります

「自信」がないために「結果」が出ないとはどういうことか。
そもそも、「結果」というのは努力の継続的な積み重ねによって出るものです。
その努力を継続的に積み重ねるためには、そうすることを自分で決断する必要があります。
「自信」のない子はまずこれが難しい。
なぜなら、その行動を積み重ねた先にある未来に確信がない(=自信がない)ため、動きが消極的な上に、なにかあったらその行動をすぐに止めてしまうからです。
そしてまた新しいことをやり始めるのですが、それもまたすぐに止めてしまう。
結果を出すために必要な一定の行動量を確保することができないのです。
こういう生徒がどうなるかと言うと、つまみ食いのような勉強を繰り返し、次第にそのことにも疲れ始め、最終的には何もやらなくなってしまいます。
先生、科目、教材、カリキュラム、人から教わったやり方、自分のやり方・・
こうしたものを信じることが出来て初めて、人は努力を継続できます、成績も伸びます。

最初から謎に自信満々の生徒がいます。
それを私は「根拠のない自信」と言ってます。
ただ、この「自信」の量にはかなりの個人差があります。
あるに越したことはないのですが、性格的に自分にあまり自信を持てないタイプの生徒もいます。
こうした生徒は「結果」を積み重ねる中で、「根拠のある自信」を増やしていくしかないのです。
「自信がない⇔結果が出ない」となっている時点で、「根拠のない自信」を持ちにくいタイプですから、解決策は「結果」を出すことしかありません。
こうした生徒にとって「自信」は燃料のようなもの。
大切なことは、残された燃料で、どのゴールなら到着できるのかを計算し、寄り道せず一直線にそこに向かわせることです。
その際、成功確率の高いゴールであることが絶対条件です。
ただし、達成が容易すぎるゴール設定では、「自信を得る」という目的を達成できません。
このバランスが非常に難しいのです。

毎年、受験生のこうした状況を打破しているのが「都立受験コース」です。
「偏差値10アップ」という快挙を、多くの受験生が達成しています。
もちろん、勉強もたくさんしてもらいます。
夏休みの目標は1日10時間、その勉強時間のすべてを教室で管理します。

しかし、「そうする」と決めてもらわないことには、「結果」が出ることはありません
期末試験を終えたこの時期、自信喪失する生徒が毎年一定数必ずいるのですが、定期試験と模試はそもそも違うものです。

定期試験と受験はまた違う

これはすべての高校受験生に言えることですが、この時期の定期試験結果に振り回されないでもらいたいのです。本人ではなく、親がここに固執してしまっているケースもあります。
「都立受験コース」のカリキュラムにおいて、定期試験を軽視してはいませんが、ここで目覚ましい結果を出すことを約束もしていません。
私たちのゴールはあくまでも模試偏差値の向上です。
なぜなら、この道筋が最も成功確率が高いことを知っているからです。
生徒自身が納得のいく「結果」、そこから得られる「自信」という意味において。

成績が真ん中付近、あるいはそれより下の生徒の場合、受験勉強は最低限の「自信」を持たせることから始めないと、その先が上手くいきません
2学期以降、気持ちが折れるような出来事ばかりが続くからです。
それに耐えられるだけの「自信」を持たせること、そのために「結果」を出すこと。
「都立受験コース」の前半戦の意義のすべてはここにあると考えています。


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