Vol.275 子どもの話をきちんと聴く
2022年09月20日更新
大人に対して無気力な生徒にたまに出会うことがあります。
こうした生徒を見ていると本人というよりも、その親に一定の傾向が見られることが多いです。
ひと言でまとめると、人の話を聴けない。
例えば、3者面談では以下のような会話になります。
親
「うちの子、全然勉強していないようなので、宿題を多めに出してもらえますか?」
「暇な時間はいつもゲームしてます。まだまだ勉強できそうです。」
先生
「なるほど、どのくらいの時間ゲームされているのですか?」
親
「時間は測ってないですけど、とにかく暇があればゲームしてます。」
先生
「晴斗君、ゲームは1日平均で何時間くらいやっているの?」
生徒
「・・・・・わからない」
先生
「以前、ご依頼いただいてから、晴斗君と相談し、少しずつ宿題の量を増やしてみました。」
「それによって勉強量も増えましたし、取り組み方も良いのでもう少しこのままで様子を見るのが良いのではないかと思います。」
親
「でも、ほんと家ではダラダラしているばかりで全然きちんとやっていないんです、先生!」
先生
「晴斗君、お母さんはこうおっしゃっているけど、自分ではどう思う?」
生徒
「・・・・・(無言)」
先生
「入塾当初は途中式も書いておらず、きちんと勉強に取り組んでいた形跡がなかったのですが、いまは正しく取り組めています。この短期間で、かなり成長されていますよ。」
親
「でも、ほんと家ではゲームばかりしてるんです。もっと勉強できると思います!」
先入観や思い込み、過度な期待、自分の願望ありきで対話するとこのようになります。
大人と大人の関係ですから、私たちは全然構わないのですが、子どもからするとこういう親は困りものです。自分の言い分をまったく聴いてくれないのですから。塾の先生との会話がこんな具合であれば、親子間での会話などほぼ成立していないに等しいのではないかと思われます。
反抗的であるうちはまだ良いのですが、次第に自分の立場を弁明することにも疲れ果て、親との関わり自体を避けようとするようになってきます。
話を聴かない相手には何を言っても無駄ですからね。
信頼関係の前提は相互理解です。
受験という困難を一緒に乗り越えることで絆を深める親子関係がたくさんあります。
本来はそうあるべきです。
残念ながら、その逆の結果を生み出してしまう親子関係も少なくありません。
人間関係ですから、関わり方における失敗もあって良いとは思いますが、前提として、子どもの声にきちんと耳を傾けることだけはしてあげていただきたいなと思います。