Vol.060 伸ばす親はMUSTとWANTで考える
2020年07月14日更新
やるべきことを「MUST」と「WANT」に分けて示すことで、成長支援がしやすくなります。
MUST・・・できなければならないこと
WANT・・・できると理想的なこと
非常に使い勝手の良い考え方なので、ぜひ使ってみてください。
目標設定にも使えます。
例えば、中間テストで非常に悪い点数を取ってしまったとします。期末試験で40点を超えないことには最悪の場合では留年の可能性もあるとしましょう。
このようなケースにおいて、40点は本人にとって「MUST」の目標です。
その一方、最初から40点を目指すというのは目標としてかなり低いと感じるかもしれません。
70点は、やるべきことをやり切れば不可能な目標ではない。
このように思っていたとしましょう。
そのような場合、この点数を「WANT」の目標点として設定します。
本番では、この「WANT」と「MUST」の間、40点~70点の間で着地すればOKと考えます。
どうせ「WANT」の目標なのだから、100点で良いのでは?という考えもあるかもしれません。
しかし、それは大きな間違いです。
この場合の100点は単なる「願望」に過ぎないからです。
目標というのは、それを達成するための行動を具体化するために立てるものです。例えば、「70点を取るために試験範囲の問題集を3回やろう!」こういうことを決めるために目標はあります。
「願望」を持つのは悪いことではないですが、目標とは明確に分けて考えるようにしてください。
達成の根拠がしっかりあるのが目標です。
「MUST」ラインをさらに分けると、「しつけ」があって、その上に「規則」があります。
概念図にすると以下のようなイメージです。
「しつけ」は、「時間を守る」のように何があっても揺るがない原則です。
それについては何があっても「見て見ぬふり」はせずに改善するまで根気強く指導します。
「規則」に関しても同様なのですが、「規則」が「しつけ」と異なるのは、状況に応じて「規則」の見直しを行っていくケースがある点です。
例えば受験期間、「スマホは20時以降触らない」という「規則」を作ったとします。受験が終わるまでこの「規則」は絶対的なものとなります。
この場合、受験が終わったら「規則」は変更しても良いでしょう。
このように何かを制限することで望ましい成果が期待できる場合や、生活や場が乱れてきた場合には、「規則」を使って「あるべき姿」に戻していくことになります。
ただし注意しなければならないことがあります。
それは、徹底できないなら「規則」にしてはならないということです。
「規則」として決めた以上は必ずやり切ること、やらせ切ること。
それができないなら最初から「規則」にしないこと。
これは非常に重要な点なので、覚えておいてください。
「規則」ばかり作ると守り切れなくなり、「規則」自体が意味をなさなくなります。
MUSTで土台を作り、WANTの例示によって「その先」を示してあげることができます。
「やるべきこと」をこのように分けて考えることで、叱ったりほめたりといった行動に一貫性が生まれ、子どもからすると「何が良くて、何が悪いのか」がわかりやすくなります。