Vol.079 読む人間か、聞く人間か
2020年07月14日更新
20世紀最大の経営学者とも言われているドラッカーは、以下のようなことを言っています。
「仕事の仕方について初めに知っておくべきことが、自分は読む人間か、聞く人間かである。世の中には読み手と聞き手がいるということ、しかも、両方できる人はほとんどいないということを知らない人が多い。自分がそのいずれであるかを認識している人はさらに少ない。」
『明日を支配するもの(ダイヤモンド社)』P201より抜粋
情報を頭の中に入れるには、「読む」方法と「聞く」方法の二通りがあります。
ドラッカーが言うには、大半の人はどちらかしかできない、と。
できないかどうかまではわからないのですが、「利き手」のように、生徒それぞれ得意不得意があるのは間違いがないように思われます。
それがわかれば、視覚を中心にした解説にすべきなのか、聴覚を中心にした解説にすべきなのかの方針が立つようになります。
「聞く」タイプの人の多くは読書が苦手です。
この傾向は東大生でも変わらないようで、このタイプの学生に本を勧めてもなかなか積極的に読もうとしません。
ちなみに、欧米ではオーディオブックと言って耳で聞く本が多く発売されています。
日本でも例えば、AmazonのAudible(オーディブル)というサービスを活用すると、本を音声で購入することができます。これは「聞く」タイプの人にとっては、非常に良い読書法です。
自分がどちらのタイプかに関して強い自覚がある場合、弱い方を補うような学び方をすると上手くいきます。
「読む」タイプが意識しておくと良いのは、人の話を聞くときにメモを取ること。人の「話し言葉」をいったん「書き言葉」に変換することで、頭の中に入ってきやすくなります。
こういうタイプの子どもに何かを伝える場合には、面倒でも一度書いてあげると情報が伝わりやすくなります。家に小さなホワイトボードとかをおいておくと良いでしょう。
ちなみに私は典型的な「読む」タイプ。人の話を聞いて理解するのがどうしても苦手なので、バインダーにA4の紙をはさんだものをいつも持ち歩いています。そこに相手の話を書き込みながら、人の話を聞くように心がけています。
「聞く」タイプの人の場合、まずは学校の授業をよく聞くことが大切になります。「読む」タイプよりも自学自習は苦手ですが、教えてもらうと成長が早いのがこちら。
家で勉強するときには音読したり、声に出しながら勉強することで理解が良くなります。一緒に勉強できる相手がいるのであれば、問題を出し合ったり、お互いに解説をし合ったりといった方法もとても良いです。頭の中で考えていることを音声変換しながら学ぶ方法を工夫してみてください。
読む人間か、聞く人間か。
ここに利き手のような傾向が存在する、と自覚しておくだけでも役に立ちますので、ぜひ学び方やコミュニケーションの改善に役立ててみてください。