Vol.088 試験になると風邪をひくのはなぜ?
2020年07月14日更新
試験になると、きまって体調を崩してしまう生徒がいます。
まるでその日を狙い定めたかのように、本当に熱を出して風邪をひいてしまうのです。
この不思議な現象は教育関係者であれば、誰でも経験があるのではないかと思います。
この理由を説明するのがアドラー心理学です。
アドラー心理学では、過去の「原因」ではなく、いまの「目的」が心や身体の状態を作り出していると考えます。
実際のところ、試験の日を狙い定めて熱を出すのは原因論だと説明がつきにくいです。
風邪で熱を出す原因はウィルスの感染ですが、それであればどの日もおなじ確率で風邪をひくはずです。試験の日だけウィルスに感染するというのはおかしい。
試験期間中は寝不足が続いていたなどの原因も考えられますが、さすがに何度も同じ失敗をするはずがありません。極度の緊張??たしかにそれもあるかもしれませんが、そんなに緊張しているようには見えないことも多々。
原因がわからないので、お医者さんに相談してもなかなか的を射た回答を得られません。
しかし、「その状態を本人が作り出している」と考えるアドラー心理学であれば、この問題はあっさりと説明がつきます。
なぜ、そうまでして試験に出席したくないのでしょうか。
アドラー心理学を前提に考えると、理由はそんなに難しいものではありません。
「失敗したくないから」です。
失敗したくない理由はなんでしょうか?
・試験の点数が悪いと親に叱られる
・自分の無能が証明されてしまう
・悪い点数を取って友人に軽蔑されてしまう
他にも色々考えられますが、とにかくこうした恐怖がその背景にはあります。
特に小中学生の場合であれば、純粋な気持ちとして「両親に認められたい」という潜在的な欲求を抱えていることが大半ですから、それが叶えられないのは一大事です。
試験が悪いと、その子の人生のすべてを否定するかのような言い方をする保護者様にたまにお会いしますが、試験の点数が人生で一番大切なことではありませんよね。
そういうことを繰り返していると「風邪をひく」では済まされないくらいに、重篤な手段を子ども自身が作り出してしまうことも充分に考えられます。
センター試験も終わり、入試もいよいよこれからが本番です。
結果も大切ですが、結果以上に大切なことを最後まで忘れずにいてあげてください。