Vol.219 子どもの努力を台無しにしてしまう親の反応
2021年08月24日更新
例えば、数学英語理科社会の点数が前回よりも圧倒的に伸びていて、国語だけが下がっている。
総合点は前回の300点から400点に上昇したけど、国語だけがなぜか40点。
こんな試験結果を子どもが持ち帰ったその日、あなたが親ならどのように声をかけますか?
このとき、絶対にやってはいけないことがあります。
それは国語の話をすることです。
もうそのことについては見ない、言わない、聞かない。
どれだけ気になっても、今晩その話はなしです。
反省や検証はまずは良かった点の確認から。
少し冷静になってから、反省点を洗い出し、次への対策を考えるのが鉄則です。
国語の話から始めるのは、勉強して成果が出たことに対する喜びの間も与えず、いきなり冷や水を浴びせるようなものなのです。
よくよく考えていただきたいのです。
やったことに対して何の喜びも得られない活動に人が夢中になれるでしょうか。
中学生が勉強をしていて、わずかばかりでも「楽しい」と感じれる瞬間、それは自分の努力が報われた(成績が伸びた)瞬間に他なりません。数日たてば、その喜びの気持ちは次第に冷め、次の新たな目標に向けて歩き始めるわけですが、たとえ短い期間であっても「嬉しい!やって良かった!」という満たされた気持ちになることが、次のがんばりの原資となるわけです。
これを親が奪うようなことをしていては、元も子もありませんよね。
しかし、悪いところの指摘から始めてしまう親は本当に多いものです。
まず悪いところの指摘で子どもの幸福感を根絶やしにしてから、「でも、数学は意外とがんばったわね」とか何とか言って謎のフォローが入ります(笑)
しかし、時すでに遅し。
その後、どうなるかというと、この生徒は親への秘密主義の傾向をさらに強めることになります。
有無を言わせないほどの圧倒的な結果を出すまで黙っておこうという作戦ですが、そう簡単にそんな結果は出ないので、親からすると子どもの状況はどんどんわからなくなります。
正解は、子どもの感情に共感することです。
喜んでいるのであれば一緒に喜ぶ、悔しいと思っているのであれば一緒に悔しがってあげること。
しかし、これが意外に難しいのです。
人は無意識に相手とのバランスをとろうとするため、親は逆をやりがちなのです。
そこにあるすべての感情が「嬉しい」で満たされてしまうことへの心理的抵抗感なんですね。
しかし、言うまでもないことですが、その日くらい「嬉しい」で満たされても何の問題もないのです。
感情はいつか必ず冷めていくものなのですから。