Vol.051 勉強はどこでもできる
2020年07月14日更新
東大生に、こういう質問をしてみることがあります。
「高校3年生のときは何時間くらい勉強していたの?」
東大に合格するくらいですから、相当な勉強時間かと思いきや・・
意外に耳にするのが、「高校がある日は3、4時間くらいですかね・・」といった普通の回答。
早稲田や慶應のような難関私立大学に一般入試で合格した学生と比較しても、大学受験のための勉強時間はそこまで変わらない印象です。
成績というのは、「勉強能力」×「学習内容(質)」×「勉強時間(量)」で決まります。
「勉強能力」を平たく言えば「頭の良さ」です。
ただ、「頭の良さ」と言っても色々とありますので、ここではペーパーテストに特化した先天的な知力を「勉強能力」としてしまいます。
「勉強時間(量)」は同じでどちらかの方が成績が良いのであれば、考えられる結論は二つ。
やはり頭が良かった(=「勉強能力」が高かった)。
あるいは、相当に質の高い勉強をしていた。
ということになります。
たしかにそのような面はあります。少なくとも「勉強能力」がとても低かったり、質の悪い学習法で東大に合格した学生はいないでしょう。
しかし、私は「勉強能力」や「学習内容」ばかりが原因だとは思っていません。
むしろ、それらが理由になる学生の方が少数派だとみています。東大生の多くはそこまでずば抜けた知力があるわけでもないし、相当に質の高い勉強をしてきたわけでもない。
もちろん、睡眠時間を削って死ぬほど勉強してきたわけでもありません。
では、何が東大合格の決め手になったのかというと、「勉強を好きという気持ち」の差です。
これを先程の方程式に当てはめると「勉強時間が多かったから」が理由となります。
そうなのです、普通の人は「勉強時間」を聞かれれば「机の前で頑張った時間」を答えますが、勉強はどこでもできるというのがここで私が述べたいことです。
例えるならば、野球好きの人は野球をしていない時間も頭の中で野球のことばかり考えています。好きな芸能人がいる人は、その芸能人のことばかり考えているでしょうし、好きな異性がいれば好きな異性のことで満たされてしまうのが人間です。
勉強が好きでない生徒というのは、机を離れると勉強のことなど考えていません。ところが、勉強が好きな生徒というのは、食事中やお風呂に入っているときや駅まで歩いているときまで勉強のことを考えています。
これは仕事でも全く一緒。仕事ができる人は、仕事を離れても仕事のことばかり考えているから仕事ができるのです。
こうなると、起きている時間はすべて勉強や仕事をしているようなものです。この脳内学習時間まで「勉強時間」に含めると、差がつくのは当然すぎるくらいに当然。
高校受験や私立大学受験であれば、机の前で頑張る「気合いの勉強」で何とかなります。
しかし、「気合いの勉強」ができるのは、せいぜい一日10時間程度でしょう。これだと知力や勉強法が余程突出したレベルでなければ、難関国公立大学や医学部までは届かない。
要するに、勉強を「好き」という気持ちに勝るものはないのです。
成績を伸ばしたければ、子供を勉強「好き」にさせるのが一番良い。
ところが、人が何かを「好き」になる理由は本当に様々なので、人為的に勉強を「好き」にさせるのはかなり難しいというのが現実です。
でも、安心してください。
「好き」になる理由は人それぞれでも、「嫌い」になる理由は割とはっきりしています。
教師や親の心得としては、まずはそれをしないこと。
その上で、勉強に興味関心を持ちやすいように導いてあげるのがベストですね。