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Vol.071 勉強が楽しくなるたった一つの条件

Vol.071 勉強が楽しくなるたった一つの条件


2018年09月25日更新



学生時代、スキーのインストラクターのアルバイトをしていました。
そこで、後の私の人生に大きな影響を与えることになる運命的な出合い・・・がありました。
そのスキースクールの中学生向けの二泊三日のスキー合宿の「仕組み」と、「仕組み」を創り上げた校長先生との出合い・・・です。
その校長先生は、私がこれまでの人生で出会った最上の指導者でもあり、いまだにその方を超える指導者には出会っていません。基礎スキーの技術的には日本で当時17位くらいだったと記憶していますが、指導者としては日本一であったと勝手に思っています。
そのスキースクールには、全国各地の中学校からスキー経験のない中学生がやってくるのですが、最終日には魔法にかかったようにスキー大好きになるのです。
校長先生は海外遠征で現場にいないことが多く、学生アルバイトと接する機会は滅多にありません。
しかし、ある日、寮の暖炉の前で2人きりになることがあり、たまたまお話を伺うことができました。
簡単な自己紹介を終えた後、そこでした会話は今でも鮮明に思い出すことができます。

校長先生 
「原君、子どもにとってスキーが楽しいか楽しくないかの違いはどこで決まると思う?」


「スキーが上手くなるかどうかですか?上達すると楽しいと感じると思います。」

校長先生
「上達すると楽しいのはその通りなんだけど、それよりも大事なことがある。何だと思う?」


「・・・」

校長先生
「スキーの本質的な楽しさというのはスピードを出してゲレンデを滑走することの爽快感にあるよな?ただ、このスピードには2種類あるんだ。なにかわかるか?」


「・・・わからないです。」

校長先生
勝手に出るスピード自分で出すスピードだ。どんなにスピードが出てもそれが自分で出しているスピードである限り、スキーヤーはそれを楽しいと感じる。しかし、そのスピードを自分が制御できていないとき、滑走している本人がその状況を楽しいと思うことは絶対にない。絶対に、だ。初心者のスキー指導をするときは、これを必ず覚えておきなさい。」

たしかに、そのスキースクールの二泊三日のプログラムは、あらゆる場面においてスキー初心者が「自分からスピードを出したくなるように」設計されていました。生徒が怖気づいてしまうような斜面にはそもそも近づくことすらできないように行動範囲が厳しく制限されていたのです。
当時の私はそれを非常に物足りなく感じていました。
スキーの楽しさは緩やかな斜面をのんびり滑ることではないと思っていたからです。
そのため、そのような厳しい制限がなければ自分と同じ楽しさを生徒に押しつけようとしていたと思います。難しいコースに連れて行って、生徒たちを怖がらせて・・。
とても恥ずかしいことですが、そんなコースを楽々と滑れる自分とのレベルの違いを見せつけて悦に浸るようなこともしていたかもしれません。

経験が増えるにしたがって、校長先生の話の意味が痛いほどにわかるようになってきました。
そしてそれはスキーに限らず、仕事でも勉強でも万事に共通する真理だったのです。
わかったのは、人は自分からやっているときに楽しいと感じ、自分がその状況に流されているだけのときに楽しくないと感じる存在だということです。
つまり、楽しさの正体は主体性の有無

楽しいと感じれば、やる気も自然と出てきます。
彼や彼女の主体性を引き出すために、何をしてあげられるか?
反対に、何をしてはならないか?
本人のやる気を引き出したいと願う親や教師、あるいは職場のマネージャーの役割は、それを日々考え続けることにあると私は考えています。