Vol.110 好景気不景気論
2024年08月27日更新
経済学には「景気循環論」という考え方があります。
「景気」は、私たちの生活ととても関わりの深い概念。
中学校の社会科の教科書から「景気」についての説明箇所を抜粋してみます。
好景気のときは、商品の売れ行きが良く、企業の生産が増え、家計の所得が増加します。
不景気のときは、逆に、商品の売れ行きが落ち、企業の生産が減り、家計の所得は減少します。
『 -新編新しい社会- 公民(東京書籍)』 P144より
簡単に説明すると「好景気」は、
商品が売れる→企業の生産が増える→お仕事が増える→お給料が増える→もっと商品が売れる
という良い循環が続いているという状態を指すということです。
説明は省きますが、「不景気」ではまったく逆のことが起きます。
この循環論は色々な場面に応用して考えることができます。
最たるものの一つが、対人コミュニケーション能力。
対話が上手くいく→楽しい→対話量が増える→対話が上手くなる→もっと対話が上手くいく
コミュニケーション能力が高い人とは、この循環が上手く機能している人のことです。
いわば、コミュニケーション能力の好景気状態。
ただし、個人の場合、本人が勝手に「不景気」の循環をつくりだしているケースが多々あります。
つまり、この循環は相当部分が主観に左右されるということ。
そうであるなら、マイナスの主観を持たないことが心構えとしては最も大切です。
コミュニケーションを例にすると、「私は人見知りなので・・・」と自分で言ってしまうのは最悪。
口にすると、それは事実になりますから、自分の発する言葉には気をつけなければなりません。
多くの場合、コミュニケーションに限らず、自分が取り組んでいる物事がどこか上手くいっていないと感じるときは、その循環が「好景気」のように作用していないものです。
この現象、成績推移も起きることはまったく同じ。
良い点数が出る→勉強時間が増える→もっと良い点数が取れる
これが成績の伸びていくときの循環です。
成績を伸ばすために最初から最後まで同じエネルギーが必要なわけではありません。
成績の不景気状態にある生徒を指導する場合、エネルギーは小出しにするのではなく、かけるべきところで一気に集中投下する方が良いのです。
要は、いかにして悪い循環を断ち、良い循環をつくりだすか。
この視点がなければ、逆転合格型の指導はできません。