Vol.128 教師たるもの五者たれ
2020年07月14日更新
出所は不明ですが、「教師たるもの五者たれ」という言葉があります。
教師の仕事の本質を突いた言葉だと思うので、私もよくこの言葉を研修などで紹介します。
五者のうち、3つを先に説明させていただきます。
学者 ・・・ 教師たるもの学者のように、物知りでなければならない
医者 ・・・ 教師たるもの医者のように、生徒の症状を適切に診断できなければならない
役者 ・・・ 教師たるもの役者のように、生徒の前で喜怒哀楽を表現できなければならない
この3つに関しては、教える仕事に興味がある人間であれば、誰でも意識の中にあると思います。
しかし、残り2つに関しては意識されていないことが多い。
なにかおわかりになるでしょうか?
残り2つに関しては後で述べるとして、その前に生徒や保護者様の立場から見た、この教師五者論の活用法をお伝えします。
この五者の要素それぞれにバランスよく長けた教師もいるとは思いますが、多くの教師は「この分野は得意だけれども、この分野は苦手」のように、資質に多少の(かなりの)偏りがあります。
この偏りが生徒と教師の相性になります。
例えば、勉強があまり苦ではなくマイペースに着々とやれているのであれば、知識が豊富な学者タイプの教師にどんどん新しいことを習うと勉強がより楽しく感じるようになるかもしれません。あるいは、コミュニケーション能力があって人と一緒に何かをやるのが好きなタイプの生徒は近くに喜怒哀楽を表現してくれる教師がいた方がしっかりがんばれるかもしれません。
他の生徒にとって最高の教師が自分にとって最高とは限らないということです。
いまの成長ステージでは、どんな「者」を教師に求めているのかをぜひ考えてみてください。
ちなみに、残り2つの「者」は以下のようになります。
芸者 ・・・ 教師たるもの芸者のように、エンターティメント性を持たなければならない
易者 ・・・ 教師たるもの易者のように、未来を提示できなければならない
易者に関しては、説明が必要かと思います。
易者とは占い師のことです。
古代より宗教のカリスマは未来予測し、大衆に自分の話を聞かせます。
近現代の政治家や企業経営者は経済という武器で未来予測し、人を動かします。
非科学的なものであれ、科学的なものであれ、影響力のある人は少なからず易者的な要素を持っています。
非科学的ということでは、「俺についてこれば合格する!」と言って根拠もなく明るい未来を提示して、生徒をやる気にさせることが上手い教師がいます。言ってから、それが現実になるようにあらゆる手を尽くす覚悟があるのであれば、これはこれで立派な易者でしょう。
科学的に易者になることも可能です。過去の指導経験の膨大なデータベースがあれば、そういった数字から生徒の未来をある程度の根拠をもって予測することができるようになりますから。
決断力が弱いタイプの生徒には、この易者タイプの教師がぴったりかもしれません。