Vol.255 何を言うかではなく誰が言うか
2022年05月03日更新
このブログで何度も書いてきていることではありますが、親の教えを素直に聴き入れることができないのが思春期の子供たち。
だからと言って、親と価値観や考え方が異なるのかというと、そういうわけでもありません。
中学生の場合、親への反発がひどく、親子間でまったく会話にならないような状態で、教室にいらしていただくケースはめずらしくありません。
そうした生徒と保護者様に対して、塾では色々なお話をさせていただきます。
勉強だけがすべてではないが、他に一生懸命に取り組んでいることがないのであれば勉強をがんばってやってみても良いのではないか、決められた時間に間に合うように行動すべきではないか、与えられた提出物や課題に真面目に取り組むべきではないか、試験はやりっぱなしにするのではなく、きちんと解きなおしまで行うべきではないか、などなど。
状況によって内容は様々ですが、塾として大切にしていることをお話させていただきます。
色々な価値観や考え方がありますから、絶対的な正解というのはありません。
メディアや友人から様々な影響を受け、右に左にと激しく揺れ動く価値観の中で、子ども自身も何が正解なのかわからなくなり、思い悩んでいることも多いです。
ただ、塾でお仕事をしていると、そうした子が心の奥底で信じているのは、結局は親から受け継いだ価値観なのだなと思うことが多々あります。
なぜ、そう思うかというと、私たち教師のお話を「その通り、よく言ってくれた!」と共感して聴いてくださっている保護者様の隣で、同じように自分の行いを反省しながら話を聴いてくれる生徒がいるからです。親子で同じように考えているからこそ、起きる現象です。
そして、こうしたことは思春期の生徒を相手にする教育現場において、日常茶飯事的に起きていることだとも思います。
しかし、親が同じ話をすると猛反発してしまう。
このとき、子どもは親の提案そのものに反対するような言い方をするものです。
例えば、「宿題を早めに終わらせなさい」という親に対して、「間に合えばいつやってもいいだろ!」のようにして。
その言い分を真に受けて、本当にそう思っていると思われている保護者様も多いのですが、そういうわけではありません。
本人も本当は早く終わらせるべきと思っているけど、親に言われるのが気に入らないだけ。
つまり、「何を言うか」が間違っているのではなく、「誰が言うか」が間違っている。
親の言い方が気に入らない、など子ども側にも反発する具体的理由はあるのですが、お仕事や家事に忙しい親が言い方まで気遣う必要があるのかとも思います。
腫れ物に触るような扱いをすると、それはそれで不機嫌になるのがこの年齢の難しいところ。
ですから、本人が反発心を抱かない誰かにその役割を依頼できるなら、それが一番良い。
そんな細かなことまで親が教える必要はないのです。