
Vol.256 正しい成長の道筋
2022年05月10日更新
塾を変えたばかりの時期など、成績がいったん下がることがあります。
これは必ずしも悪い兆候ではありません。
本人が今までのやり方を変えようとしているときに、見られる現象だからです。
野球に例えるなら、これまで何年も我流でバットを振っていた人が、きちんとしたコーチについて正しいフォームに矯正されているようなもの。新しいフォームが身体に馴染むまで、これまでのようにヒットを打つことが出来なくなるのです。
高校受験に関して言うと、そこに「パラダイム転換」という要素も加わります。
一般入試を目指すようになると、通知表(定期試験)結果を良くすることだけではなく、模試偏差値を伸ばすことを目標とする受験勉強が始まります。
長期的な時間軸でみると、それらの勉強の目的は重なり合うのですが、中学生が実感する時間軸でみると、それらの勉強は別のもの。生徒たちからすると、どちらかの勉強時間を増やせばどちらかの勉強時間が減ってしまうというジレンマに直面することになります。そのため、受験勉強を開始したことで、定期試験結果が下がってしまうという生徒がいます。
「なにを目的にして、どういう勉強をしているのか」がわかっていないと、ここで右往左往することになります。ただ単に成績が下がっているように見えるからです。
通知表にせよ、偏差値にせよ、年単位でじわじわと成績が下がっているような場合、それは悪い傾向である可能性が高いです。その一方、一時的に成績が下がったというだけであれば、それは本人にとって必要な痛みかもしれません。
大切なことは、表面的な成績だけをみて、周囲の大人が過剰反応しないこと。
以下のようなことがあった場合は、もう少し様子をみても良いと思います。
・新しい塾に通い始めた、指導者が変わった
・教材を変えた
・勉強する目的が変わった(受験、検定など)
・勉強のやり方を変えた
・勉強時間の使い方の配分を変えた
今のままではダメだと思ってやり方を変えたのに、成果が出ないからと元に戻してしまっては意味がないです。
成績が伸び続けるということはまずありませんし、健全なことでもありません。
試行錯誤と反省を繰り返しながら前に進むのが正しい成長の道筋だということです。