「平成30年度」都立高校入試200字作文 考え方と模範解答例
2020年07月25日更新
このページでは、『平成30年度』の東京都立高校入試における200字作文をあつかいます。
200字作文のポイントや書き方などは、こちらを参考ください。
出典と問題の問われ方
〇出典:國分功一郎「中動態の世界」
〇問い:国語の授業でこの文章を読んだ後、「自分の意志をもつこと」というテーマで自分の意見を発表することになった。このときあなたが話す言葉を具体的な体験や見聞も含めて二百字以内で書け。
〇配点:10点
作者の主張と構成のポイント
筆者の主張:
私が何ごとかをなすとき、私は意志をもって自分でその行為を遂行しているように感じる。また人が何ごとかをなすのを見ると、私はその人が意志をもって自分でその行為を遂行しているように感じる。(第一段落)
こうして考えてみると、「私が何ごとかをなす」という文は意外にも複雑なものに思えてくる。(省略)私がそれを自分で意志をもって遂行しているとは言い切れないからである。(第五段落)
「私が何ごとかをなす」という文は、「能動」と形容される形式のもとにある。(第七段落)
能動とは呼べない状態のことを、われわれは「受動」と呼ぶ。(省略)能動の形式では説明できない事態や行為は、ちょうどそれと対をなす受動の形式によって説明すればいいということになるだろうか。(第八段落)
この(能動と受動の)区別は非常に不便で不正確なものだ。能動の形式が表現する事態や行為は能動性のカテゴリーにうまく一致しないし、だからといってそれらを受動の形式で表現できるわけでもない。(第十段落)
意志は目的や計画をもっているのであって、その意味で意志は意識と結びついている。(省略)おそらく無意識のうちになされたことは意志をもってなされたとは見なされない。(第十四段落)
ところが不思議なことに、意志は様々なことを意識しているにもかかわらず、そうして意識された事柄からは独立しているとも考えられている。(第十五段落)
意志は物事を意識していなければならない。つまり、自分以外のものから影響を受けている。にもかかわらず、意志はそうして意識された物事からは独立していなければならない。すなわち自発的でなければならない。(第十六段落)
↓
問いの「自分の意志をもつこと」を踏まえてまとめると、「意志とは、能動的に意識をもって行う事態や行為に結びついているはずなのだが、実際はその意識された事柄からも独立しているとも考えられる。」
↓
今までの経験の中で「自分で意志をもって」行ったと思われる行為が、思い返してみれば実はそうではなかった、という経験はありますか?行動の原動力は、自分の意志とかけ離れている=自分以外のものから影響を受けていることも意外と多いです。
意思決定に関する自分の経験を一つ取り上げて書きましょう。
模範解答例
採点基準
にも書きましたが、以下に採点基準を付けておきます。〇付けの基準にしてください。
<採点項目>
・自分の意見、主張がある。(+4点)
・筆者の主張を踏まえている。(+3点)
・具体的な体験や見聞がある。(+3点)
<減点項目>
・本文の抜き出しや要約になっている。(-10点)
・論旨に一貫性がない。(-2点)
・句読点の誤り、誤字、脱字、衍字(語句の中に間違って入った不要の字)が1つある。(-1点)
・句読点の誤り、誤字、脱字、衍字が2つ以上ある。(-2点)
・最後の一文が途中で終わっている。(-1点)
・101字以上150字以内である。(-2点)
・100字以内または201字以上である。(-10点)
・不適切な箇所が1つある。(-1点)
・不適切な箇所が2つ以上ある。(-2点)