【都立高校】学級数の増減で入試倍率はどう変わる?過去3年間分を調査してみました!
2020年10月17日更新
当たり前の話ですが、都立高校入試には定員があります。
願書を提出した人数が定員を上回れば、その越えた分だけ不合格者がでることになります。
意外と注目されないのですが実は、各年度、学校によっては定員が変動しています。
具体的には都立高校は学級数で人数が定義されているため、その学級数が変動するということですね。
都立高校の募集人数(第一学年生徒の募集人員)は毎年10月の第二週目木曜日に東京都教育委員会のウェブサイトで発表されており、定員が変化する理由について今年は
都内公立中学校卒業予定者数の減少を踏まえ、次の高校の各学科について募集学級の減を行う
【出典:】
と書かれていました。
つまり、その年に卒業する公立中学生の数や受け入れ態勢によってあらかじめ募集学級数が東京都教育委員会によって決められている、ということですね。
令和3年度東京都立高等学校入試においては、普通科、専門学科を合わせて31校が31学級を減らすことが決まりました。
逆に、学級数が増加した学校は今年度はゼロ。
ここもとの少子化の流れを受けて学級数を減らす高校が増えています。
(ちなみに、今後都内の中学生数は増加に転じることが予想されており、一方的に学級数減が続くことはなさそうです。)
どの高校が学級数を減らすかは、「学級数が変動することで入試倍率はどう変わるのか?」ではないでしょうか。
を見ていただくとわかるのですが、受験生にとって気になるのは本記事では、過去3年間の学級数が変動した都立高校を取り上げ、翌年の倍率にどう影響があったかを調べました。
定員数の変動以外にも倍率に影響を及ぼす要因は数限りなくあるとは思いますが、ひとつの指針にはなるでしょう。
都立入試における倍率とは?
都立入試における倍率には、主に以下の4つがあります。
①校長会志望予定調査
②応募倍率(取り下げ前)
③最終応募倍率(取り下げ後)
④受験倍率
各倍率についてここでは割愛しますが、今回は③最終応募倍率(取り下げ後)を取り上げます。
④受験倍率は受験後にしかわからず、③→④の変動幅も年によって大きく異なるからです。
教育委員会ウェブサイトでは、毎年出願後すぐに最終応募倍率(最終応募人数÷募集人数)が発表されます。
それでは、3年間の最終応募倍率の変化を見ていきましょう。
前年度からの倍率変化(過去3年分)
2020年度(2020年4月入学)は、26つの学校で26学級減、1つの学校で2学級増でした。
学級減 | 26校 | △26学級 |
学級増 | 1校 | 2学級 |
学校名 | 学科名 | 増△減 | 前年度倍率 | 今年度倍率 | 前年度倍率 | 今年度倍率 |
八潮 | 普通科 | △1学級 | 0.93 | 1.19 | 0.89 | 0.89 |
大森 | 普通科 | △1学級 | 0.89 | 0.70 | 0.92 | 0.86 |
蒲田 | 普通科 | △1学級 | 0.88 | 1.69 | 0.63 | 0.90 |
広尾 | 普通科 | △1学級 | 1.56 | 1.88 | 1.78 | 2.26 |
光丘 | 普通科 | △1学級 | 1.09 | 1.15 | 0.91 | 0.91 |
竹早 | 普通科 | △1学級 | 1.35 | 1.65 | 1.43 | 2.09 |
大山 | 普通科 | △1学級 | 1.06 | 1.08 | 1.09 | 1.17 |
竹台 | 普通科 | △1学級 | 1.00 | 1.26 | 1.08 | 1.81 |
足立東 | 普通科 | △1学級 | 1.05 | 1.62 | 1.09 | 1.48 |
葛西南 | 普通科 | △1学級 | 1.04 | 1.07 | 1.04 | 0.99 |
片倉 | 普通科 | △1学級 | 1.34 | 1.24 | 1.04 | 1.29 |
小川 | 普通科 | △1学級 | 1.33 | 1.27 | 1.30 | 1.36 |
山崎 | 普通科 | △1学級 | 1.18 | 1.40 | 0.78 | 0.94 |
拝島 | 普通科 | △1学級 | 1.13 | 1.13 | 0.97 | 1.25 |
東大和 | 普通科 | △1学級 | 1.41 | 1.50 | 1.25 | 1.36 |
武蔵村山 | 普通科 | △1学級 | 1.16 | 1.16 | 1.26 | 1.30 |
羽村 | 普通科 | △1学級 | 0.99 | 0.95 | 1.07 | 1.01 |
永山 | 普通科 | △1学級 | 1.06 | 1.26 | 1.17 | 1.47 |
中野工業 | キャリア技術科 | △1学級 | 0.70 | 0.95 | ||
北豊島工業 | 総合技術科 | △1学級 | 0.63 | 0.69 | ||
大田桜台 | ビジネスコミュニケーション科 | △1学級 | 1.02 | 0.93 | ||
野津田 | 体育科 | △1学級 | 0.69 | 1.17 | ||
世田谷総合 | 総合学科 | △1学級 | 1.02 | 1.24 | ||
東久留米総合 | 総合学科 | △1学級 | 1.16 | 1.39 | ||
大泉桜 | 普通科(単位制) | △1学級 | 1.06 | 1.09 | ||
板橋有徳 | 普通科(単位制) | △1学級 | 0.99 | 1.12 |
※)普通科以外は男女枠なし
学校名 | 学科名 | 増△減 | 前年度倍率 | 今年度倍率 |
五日市 | 普通科(ことばと情報コース) | 2学級 | 0.96 | 0.49 |
2019年度(2019年4月入学)は、9つの学校で9学級減、3つの学校で3学級増でした。
学級減 | 9校 | △9学級 |
学級増 | 3校 | 3学級 |
学校名 | 学科名 | 増△減 | 前年度倍率 | 今年度倍率 | 前年度倍率 | 今年度倍率 |
向丘 | 普通科 | △1学級 | 1.80 | 1.72 | 2.02 | 1.97 |
日本橋 | 普通科 | △1学級 | 0.95 | 1.56 | 1.41 | 1.76 |
東 | 普通科 | △1学級 | 1.71 | 1.89 | 1.79 | 2.07 |
青山 | 普通科 | △1学級 | 2.04 | 2.18 | 1.83 | 2.10 |
江戸川 | 普通科 | △1学級 | 1.52 | 1.92 | 1.5 | 1.64 |
東村山西 | 普通科 | △1学級 | 0.99 | 1.19 | 1.38 | 1.25 |
狛江 | 普通科 | △1学級 | 1.72 | 1.89 | 1.50 | 1.82 |
久留米西 | 普通科 | △1学級 | 1.22 | 1.29 | 1.06 | 1.23 |
八丈 | 普通科 | △1学級 | 0.43 | 0.53 | 0.42 | 0.35 |
学校名 | 学科名 | 増△減 | 前年度倍率 | 今年度倍率 | 前年度倍率 | 今年度倍率 |
竹早 | 普通科 | 1学級 | 1.83 | 1.35 | 1.89 | 1.43 |
広尾 | 普通科 | 1学級 | 2.15 | 1.56 | 2.43 | 1.78 |
東大和 | 普通科 | 1学級 | 1.51 | 1.41 | 1.55 | 1.25 |
2018年度(2018年4月入学)は、11つの学校で11学級減、3つの学校で3学級増でした。
学級減 | 11校 | △11学級 |
学級増 | 3校 | 3学級 |
学校名 | 学科名 | 増△減 | 前年度倍率 | 今年度倍率 | 前年度倍率 | 今年度倍率 |
三田 | 普通科 | △1学級 | 1.91 | 2.09 | 2.08 | 2.30 |
戸山 | 普通科 | △1学級 | 1.89 | 2.39 | 1.71 | 1.78 |
城東 | 普通科 | △1学級 | 1.53 | 1.84 | 1.54 | 1.75 |
目黒 | 普通科 | △1学級 | 1.78 | 1.98 | 1.95 | 2.15 |
深沢 | 普通科 | △1学級 | 1.24 | 1.19 | 1.68 | 1.30 |
石神井 | 普通科 | △1学級 | 1.66 | 1.91 | 1.79 | 2.01 |
足立 | 普通科 | △1学級 | 1.46 | 1.35 | 0.95 | 1.66 |
富士森 | 普通科 | △1学級 | 1.25 | 1.22 | 1.46 | 1.49 |
多摩 | 普通科 | △1学級 | 1.24 | 0.96 | 1.35 | 1.09 |
東大和南 | 普通科 | △1学級 | 1.59 | 1.82 | 1.50 | 1.77 |
清瀬 | 普通科 | △1学級 | 1.39 | 1.40 | 1.26 | 1.25 |
学校名 | 学科名 | 増△減 | 前年度倍率 | 今年度倍率 | 前年度倍率 | 今年度倍率 |
向丘 | 普通科 | 1学級 | 1.85 | 1.80 | 2.23 | 2.02 |
青山 | 普通科 | 1学級 | 1.98 | 2.04 | 2.08 | 1.83 |
江戸川 | 普通科 | 1学級 | 1.76 | 1.52 | 1.69 | 1.50 |
学級数が減ることによる影響
3年間の合計では、46校で46学級減、8校で8学級増となっています。
どうでしたか?
学級数が減る(増える)学校の、次年度倍率に共通点はありましたでしょうか?
次年度は学級数が減る学校しかないため、学級数減による影響をみていきましょう。
男子 | 学校数 | 割合 |
上がった | 27 | 71% |
変化なし | 2 | 5% |
下がった | 9 | 24% |
女子 | 学校数 | 割合 |
上がった | 27 | 71% |
変化なし | 2 | 5% |
下がった | 9 | 24% |
たまたま男女ともに同じ数字なのですが、学級数が減った学校のうち約71%(全体の約4分の3)が次年度において倍率が上がっています。
応募人数が変わらなければ、募集人数が減ることで倍率は上がるという理屈はわかりやすいですよね。
募集人数が減った学校の倍率は、上がりやすい傾向にある、という点は頭に入れておきましょう。
都立高校にどうしても入学したい、という場合は、模試の判定が良くても1つ偏差値が下の高校に出願することも手になりますね。
加えて注意すべきなのは、募集人数が減ったにもかかわらず、倍率がさらにさがっている学校です。
2019年度の向丘高校のように、前年度倍率が2.0倍前後になるような人気高校の場合は、募集人数が減る→さらに倍率が上がるかも→1つ下げて出願しよう、という心理が働いた結果だと言えますが(2018年度の青山高校も逆ですが同じ心理が働いた結果でしょう)、前年度定員割れで学級数を減らしたにもかかわらず、さらに倍率が下がってしまうケースもあり得ます。
学級数が減った理由に当てはまるような状況がその学校には存在していないか、出願前によく調べておくことも必要でしょう。
2021年度入試で学級数が増減する高校は?
2020年10月8日に、今年度受験(令和3年度、2021年4月入学)の募集人数が発表されました。
今年は専門学科が大幅に学級減になったこともあり、31校で31学級が減ることになります。
志望校として考えている学校がある場合は、上記の点も考慮しておくことをオススメします。
学級減 | 31校 | △31学級 |
学級増 | 0校 | 0学級 |
学校名 | 学科名 | 増△減 | 前年度倍率 | 前年度倍率 |
千歳丘 | 普通科 | △1学級 | 1.32 | 1.50 |
杉並 | 普通科 | △1学級 | 1.47 | 1.30 |
練馬 | 普通科 | △1学級 | 1.06 | 0.92 |
青井 | 普通科 | △1学級 | 1.08 | 0.89 |
足立新田 | 普通科 | △1学級 | 1.05 | 1.24 |
淵江 | 普通科 | △1学級 | 1.02 | 1.14 |
葛飾野 | 普通科 | △1学級 | 1.17 | 0.89 |
富士森 | 普通科 | △1学級 | 1.10 | 1.26 |
府中西 | 普通科 | △1学級 | 1.37 | 1.13 |
日野 | 普通科 | △1学級 | 1.20 | 1.33 |
東村山西 | 普通科 | △1学級 | 1.30 | 1.25 |
福生 | 普通科 | △1学級 | 1.22 | 1.28 |
清瀬 | 普通科 | △1学級 | 1.01 | 1.37 |
久留米西 | 普通科 | △1学級 | 1.26 | 1.22 |
秋留台 | 普通科 | △1学級 | 1.40 | 1.27 |
田無 | 普通科 | △1学級 | 1.12 | 1.39 |
総合工科 | 機械・自動車科 | △1学級 | 0.68 | |
杉並工業 | 電子科 | △1学級 | 0.29 | |
荒川工業 | 電気科 | △1学級 | 0.65 | |
足立工業 | 総合技術科 | △1学級 | 0.90 | |
六郷工科 | プロダクト工学科 | △1学級 | 0.40 | |
芝商業 | ビジネス科 | △1学級 | 0.99 | |
第三商業 | ビジネス科 | △1学級 | 0.93 | |
第四商業 | ビジネス科 | △1学級 | 0.70 | |
葛飾総合 | 総合学科 | △1学級 | 0.94 | |
町田総合 | 総合学科 | △1学級 | 1.07 | |
墨田川 | 普通科(単位制) | △1学級 | 1.07 | |
美原 | 普通科(単位制) | △1学級 | 1.07 | |
飛鳥 | 普通科(単位制) | △1学級 | 1.11 | |
翔陽 | 普通科(単位制) | △1学級 | 1.04 | |
上水 | 普通科(単位制) | △1学級 | 1.12 |