Vol.026 本当の「勉強する理由」にたどりついた塾生
2024年08月20日更新
大学に合格するためには様々な方法があります。
10月現在、大学と指定された高校との取り決めで受験者(事実上の合格者)が決まる「学校推薦型選抜(指定校制)」や、受験者の人物重視で合否を決める「総合型選抜入試」に関しては、すでに合格内定者や合格者が出ています。
個別指導プラスジムからも、指定校推薦をもらえた生徒や総合型選抜入試の合格者が出ています。
毎年のことですが、このタイミングで、この塾特有の不可思議な現象が起こります。
大学に合格しても一部の高校3年生が辞めないのです。
もちろん、引き留めるようなことは一切していません。
高校に合格した中学生が辞めないのはわかります。
その先には大学受験が控えていますし、むしろここからですから。
ここは学習塾です。
学習塾に通う目的は何かといえば、「志望校合格」でしょう。
理由が「学校の成績向上」であっても、ほとんどの場合、その先の受験が本当の通塾理由です。
もちろん、私たちもその目的達成のために日夜様々な努力を続けてきています。
でも、本来の学問はそうした理由のためにあるわけではありません。
個人レベルでは、より良い人生を生きるために。
社会レベルでは、より良い社会を創るために。
勉強は一生続いていくものだと、私は考えています。
過去に「勉強する理由なんてわからなくていい」という記事を書きましたが、この塾で私が聞かれもしないのに、学ぶことの理由を教えることはありません。
勉強する理由は、理屈を教えても意味がないからです。
しかし、受験に合格してもこの塾を辞めない高校3年生を見ていると、そうした塾生たちにはそれがきっと理屈ではなく実感としてわかったのだな、と思います。
例えば、総合型選抜入試で合格した博史君(仮名)が、この塾に来たのは夏期講習直前でした。
それまでは進学実績のそこまで良くない都立高校でサッカーをがんばってきた高校3年生。
本当に、受験のためだけに、夏休み前に「なんとかしてほしい」と駆け込みでやってきた塾生です。夏休み直前期ともなると、受験生はお断りさせていただくことも多いのですが、面談を担当した責任者が本人の聡明さと内に秘めた向上心に感じ入り、入会をしていただきました。
しかし、彼自身は勉強を続けていくうちに、いかに自分が高等教育で必要とされる最低レベルの英語力を身につけていないかを知った。それがない状態で大学生になることが、これから先の4年間でどれだけ機会損失を生むかということを知った。
彼には今、経営コンサルタントになるという夢がありますが、そのために今日何を学ぶかが大切なのであって、大学合格なんて通過点に過ぎません。
一般入試を目指す同学年の生徒達が必死な今だからこそ、大学入学時に差をつけられないようにがんばっておくべき時期です。
今なら、自分で自分の勉強することを決められる、というアドバンテージがありますから。
(危機感を持って勉強できる時間を失ったというデメリットもある)
大学に合格してから何を学んでいるかは塾生それぞれです。
理工系の学部に合格が決まった塾生が、大学の物理学を習っていることもありますし、博史君のように英語を勉強している生徒もいます。
変わったところでは、中国語やフランス語を教えたこともあります。もちろん、そんな通塾科目はないので、担当講師にできるかどうかの合意をとった上で、お互いにOKとなったので特別に許可したケースです。大学受験以上の知識を教えられるのは、さすが東大生だなと感心しました。
やるべきことをしっかりやり切ったからこそ、好きな勉強だけができる。
がんばってきた塾生の「学ぶ意欲」には、最後まで最大限こたえてあげたいなとは思っています。
「何か」のためでない、自分のための勉強。
教える側も教えられる側も、とても楽しそうです。
本来の勉強はこうでなくっちゃ!
この塾で学べるのは長くても残り数か月です。
世を知り、人を知り、これから先も素晴らしい人生を歩んでください。