Vol.036 成長をあと押しする言葉は「体験」とセットで考える
2020年07月14日更新
「この生徒はここを直せば、すぐに伸びるのになー」
教室にいると、そのような改善点はどんどん目に飛び込んできます。
発見してどうするかと言うと、何もしないことも多いです。
しかし、その発見を忘れることはありません。
(しっかりメモも残します、笑)
そのような発見はどんどんたまっていき、数百単位の「言いたいこと」がたまっていきます。
一例を挙げると、
11/5 生徒名 教室に入ってきたが、一礼はするものの挨拶の声は出ていない。
11/5 講師名 指導が同じ生徒に偏りすぎ。気になるのはわかるが、愛情は公平に。
11/5 生徒名 遅刻が2回連続。言い訳をする。
11/5 講師名 ドア付近で困っている生徒に気付くことなく授業準備。目配りが足りない。
11/5 生徒名 ノートの字が汚い。もっと物事に丁寧に取り組まないと。
11/6 生徒名 スリッパを同じ棚に2つ押し込む。なぜそんな意味のないことをするのか。
11/6 講師名 女子生徒から話しかけにくいと文句が出る。どう伝えるか。
11/6 生徒名 講師が話しかけている最中に帰宅準備。人の話を聞く姿勢がなっていない。
こんな具合です。
改善点を指摘するときは、それに関連する「具体的な行動」を覚えておくことが基本です。
そこから、「なぜその行動が良くないのか」という話につなげていく。
そして、これがとても大切なことなのですが、「いま、この話をしたとして相手の腹に自分の言葉はちゃんと落ちるかどうか」をすごく考えます。
言葉というのは、受け手のためのものです。
当然、受け手は「その話を聞きたいタイミング、聞きたくないタイミング」があるわけです。
本人にとって耳に痛い話であれば尚更でしょう。
つまり、成長のための言葉は「自分が言いたいときに言うのではなく、相手が聞きたいときに言う」
ことがとても大切だということです。
私自身、そんなに気の長い性格ではありませんが、「人に何か大切なことを伝える」のを「待つ」ことに関しては、おそろしく忍耐強い一面があります。
待って、待って、待って・・・最長では5年間くらい言わないこともあります。
というよりも、結局は言わないままに終わることがかなり多いです。
日々の気づきの量が半端ではないので、それを全部口にしていたら、ただの口うるさいおじさんになってしまいますから。
材料だけは準備を整えておいて、そのタイミングが来たら指摘するという感じです。
自己満足のために誰かを指導しているわけではないですから。
伝わらなければ意味がないと思っています。
(しつけは別です。スリッパの向きなどはすぐにその場で指摘し強制します)
では、そのタイミングとはいつか?
それは生徒自身が「今のままでは良くない」と自覚する「失敗体験」をしたときです。
あるいは、「成功体験」の後もチャンスです。
上手くいった直後は、人の言葉を聴く心の余裕が生まれていることが多いですから、言葉がすっと心に入りやすいです。
この場合、とても良い伝え方がありますので、紹介させていただきます。
言うべきタイミングさえバッチリ合えば、子どもが自分で自分の欠点を克服しようと頑張りだす最強の伝え方です。
「●●という長所をもっと伸ばしたいね、でも、××が足を引っ張っている。それがもったいない。」
これは本当に役立つので、覚えておいてください。
テンプレートそのままは伝わらないので、構造を理解してご自身の言葉で伝えてあげていただきたいなと思います。「強み」の成長の阻害要因になっているのが、その改善点でそれが「もったいない」という伝え方です。
以上のように、改善点は思いついたことから次々に言うのではなく、言うべきタイミングをしっかり見極めて伝えることが大切です。
成長をあと押しする言葉は、「体験」とセットで考えると良いでしょう。