Vol.118 受験に友達はいらない
2020年07月14日更新
東大受験を描き大ヒットした漫画『ドラゴン桜』から、興味深いお話を一つ紹介させていただきます。
受験で「合格するタイプ」と「落ちるタイプ」というお話です。
第11巻で、大手予備校の講師陣の経験談として紹介されています。
合格するタイプ → 授業が終わったらすぐに家に帰る
落ちるタイプ → 授業後、いつまでも教室に残って友達とダラダラ話をしていたりする
後者の落ちるタイプについては、「だらだらと残っている子は一見協調性がありそうで好感が持てそうですが・・・・実は行動を自分では決められず他人に依存している。こういうタイプは生活にメリハリがつかず、勉強していても注意が散漫で意欲も長続きしない」と手厳しい評価。
現場経験の長い私からしても、この意見は大いに納得できるところがあります。
私の場合、生徒の「関心」がどこに向いているかをみるのですが、成績の伸びない生徒に多くみられるのが、この「関心」の向きが「人」になってしまっているケース(女子に多い)。
今日の担当講師は誰だと大騒ぎをし、近くの席に知人がいるかどうかで一喜一憂し、外出時は必ず友達を巻き添えにし、休憩時は誰かのよもやま話に花を咲かせる・・
わかりやすい特徴は人の動きにとても敏感なところ。
教室にあたらしく誰かが入ってくると、それが誰かを確認せずにはいられません。
こうした生徒は「関心」が人に向いてしまっているので、自分の行動も他人に従うか他人の顔色をうかがいながら決めていることが大半。LINEでも触らせようものなら、常時気になって仕方がないであろうことは容易に想像がつきます。
残念なことに、こういう状態だと、あまり成績は伸びないのです。
他人を気にしてばかりで、「自分のやるべきこと」に集中できていないわけですから当然です。
受験を通じて、お互いに刺激し合える素晴らしい人間関係が生まれることもあるのですが、これは先に述べたような友人関係とは似て非なるものです。
そもそも「仲良くすること」を目的として繋がっているわけではないので、お互いが言いたいことをはっきりと言いますし、自分のやるべきことを優先しますから、よく衝突もします。
ベタベタとした「馴れ合い」の関係性ではなく、メリハリのある「切磋琢磨」の関係性になっています。お互いの一番尊敬しあっている部分は「勉強と向き合う態度」です。
塾の中にいるときはお互いを意識しつつも適度な距離感を保ち、勉強中の相手に声をかけて邪魔をするようなことはまずしません。
しかし、このようなお互いを高め合える人間関係を築くのはなかなか難しいものです。勉強に意識が向いた結果、自然とそうなる感じなので、狙ってこうした関係を築くこともできません。
勉強は基本的に一人で行うものであり、その本質は「自分との孤独な戦い」です。
受験まで残り半年を切りました。
もし、あなたが受験生で、受験で本気で成功したいと願っているのなら、よい方法があります。
ダラダラとした友人関係が受験という目的に対して良い影響を与えることはほとんどありません。もしまわりにそうした友人関係しかないのであれば、少しの期間、友達とは思い切って距離をおいて付き合うようにしてみてはいかがでしょうか。
いまのあなたに必要なのは友達ではなくて、志を同じくする「同志」であり「仲間」です。
志が違う人と無理に足並みをそろえようとするのは百害あって一利なし。
あなたの幸せを願う本当の友達なら、そのくらいで縁が切れることもありませんから心配は無用です。