Vol.132 成績が伸びるとやる気が高まる
2024年08月27日更新
「うちの子は勉強のやる気がない!」となげいている親は多いものです。
「やる気」さえ出してくれれば、保護者様の子どもの勉強に関するお悩みの大半は解決できてしまうのではないでしょうか。
誰にとっても永遠の課題です。
しかし、そもそも「やる気」とはなんでしょうか?
私はこの言葉を用いることが問題の本質を見誤らせる原因になっていると考えています。
そんな便利なものは存在しないと考えた方がいい。
そうではなく単純に勉強を質と量で捉えるべきなのです。
適切な量の勉強が出来ているかどうか。
きちんと成績の伸びるやり方をしているかどうか。
気にするべきはこの2点だけのはずです。
冒頭のお悩みをいただくような場合、まずはどうすれば勉強時間(量)が増えるか、から考える場合がほとんどです。
勉強嫌いの生徒の勉強時間を増やす確実な方法があります。
それは「実際に成績が伸びること」です。
そのメカニズムについて説明させていただきます。
成績が伸びていないとき、生徒の頭の中にある未来の成績イメージは下図のようなものです。
図1
これまでの結果について、まわりの大人は、「きちんと勉強していないんだから、そりゃそうでしょ!」と思っているのですが、本人はそのようには思っていません。
どれだけ勉強していると感じるかは完全に本人の主観によるので、いまの勉強時間でも本人にとってはそれなりに大変に感じているものだからです。
「嫌いなことをしている時間は長く感じる」という、誰でも知っている法則です。
成績の伸びる保証もない中で、さらに勉強時間を増やすなんて・・と半ばあきらめムード。
先々の成績のイメージはいまの延長線上。
これが成績不振の状態で停滞している生徒の中で起きていることです。
このような状態で勉強時間を増やすというのは、なかなか難しいことであるというのがおわかりいただけるのではないでしょうか。
ところが、なにかをきっかけに成績が伸びるとこのグラフに変化が起きます。
図2
こうなると、二重の意味で勉強時間が増えます。
ひとつ目の理由は、明るい未来が見えるようになること。
「自分にもできるかも?」と思うようになり、がんばるようになります。これを「自己効力感」と言います。
もう一つの変化は、せっかく伸ばした成績を失いたくないという心理が働くようになることです。
これを心理学用語で「損失回避」と言います。少しネガティブな動機ではありますが、「勉強するようになる」という結果は変わりません。