Vol.241 いま、塾に通うことの意味
2022年01月25日更新
オミクロン株の流行によって、新型コロナ感染者数が連日のように記録更新を続けています。
2022年1月25日(火)、東京都では12,813人で過去最高との報道がありました。
重症化率は高くないようなのですが、感染してしまうと出歩けなくなる点が厄介です。
大げさに言えば、弾丸が降り注ぐ中、目的地まで走り抜けなければならないような心持ちで塾運営を行っています。多くの受験生も同じ気持ちだと思います。
ただでさえ、受験に対する不安が大きくなるこの時期に、受験とは関係のないところで余計な心配をしなければならない今年の受験生(昨年もでしたが)。
ただ、こうした状況下にも関わらず、オンラインに移行すべきという声は、学習塾業界からも生徒からも保護者様からもほとんど聞こえてきません。
むしろ、この状況が対面指導の価値をさらに高めているようにすら感じています。
そもそも、学校や塾をお休みしたからと言って、感染リスクをゼロにすることは出来ません。
誰とも会話せずに部屋に一人で閉じこもれば、感染リスクはかなり低減するでしょうが、受験の不安によって生じるストレスにどう対処すれば良いのかというまた別の問題が発生します。
信頼のおける誰かとの対話は精神安定剤として重要な役割を果たします。
職場において、リモートワークを経験された方であればおわかりかと思いますが、オンラインは情報の交換にはあまり問題がありませんが、感情の交流には不向きな手段です。
感染者数がいったん落ち着いた昨年秋頃には、気心の知れた仲間と一緒に食事を楽しむことの素晴らしさをあらためて実感した、という方も多かったのではないでしょうか。
もちろん、全員が全員そうではありません。
共感能力には個人差があり、そうした共感のコミュニケーションをあまり必要としないタイプの人もいます。また、そうしたコミュニケーションなしに成立する仕事もたくさんありますから、私はオンラインやリモートワークには反対の立場ではありません。活用できるのであれば、大いに活用すべきと考えています。ただし、不安解消が重要な意味を持つ仕事において、オンラインは不向きだと考えます。
学習塾の場合はどうかと言うと、これは教室や生徒によると思います。
その塾独自の解法のテクニックを学べることにその塾の「強み」があるのであればオンラインで良いかもしれません。そうした学習塾でなくとも、その生徒個人が「解き方がわかるようになること」にだけ通塾価値を感じているとすれば、オンラインで構わないと考えます。
その一方、やる気を引き出すことや学習習慣を守らせる役割を塾に期待されているような場合だと、オンラインは難しくなります。生徒の感情に寄り添った対応が必要になるためです。
端的に言えば、生じた不安をきちんと処理しなければ、生徒は勉強できなくなるのです。
そのため、止むを得ない場合を除いて、こちらから積極的にオンラインをご案内することはしておりません。受験生においては特に、です。
正直に言えば、塾運営する私の気持ちとしてはオンラインの方がラクなのです。
しかし、受験生の視点に立って考えると、この時期からのオンライン移行はありえない。
(本人が希望される場合は構わないと思います)
プラスジムが提供してきた価値というのはこのような厳しい状況の中でこそ、大きな意味を持つものだと考えているからです。大切に生徒を育ててきた全国各地の塾の先生方も、きっとそのように考え、今日もまたいつも通りに教室を開けて生徒を待っているのではないでしょうか。