Vol.285 本田圭佑さん
2022年11月29日更新
11月27日(日)は、次年度の高校受験説明会でした。
ご参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました。
やり方次第で、受験学年を何倍も充実した時間に変えることができます。
成り行きまかせにするのではなく、ぜひ、良い過ごし方を子どもと一緒に考えてあげてください。
次の週末は、中学2年生の塾生保護者様向け受験説明会です。
参加される皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
2022年、FIFAワールドカップが開催中です。
熱心なサッカーファンというわけではまったくないのですが、ワールドカップに関しては1998年のフランス大会以降、観戦できる試合はすべて観ています。
11月23日(木)は日本ドイツ戦でした。日本時間で22時キックオフでしたので、家での観戦には間に合わず、帰りの電車の中、スマホのAbemaTVで前半途中から観戦しました。元サッカー日本代表の本田圭佑氏が解説を担当されていたのですが、試合の内容が頭に入ってこないほど、私は本田氏の解説に魅了されてしまいました。
試合後、その解説が話題になったことを後で知るのですが、「それはそうだろうな」と思いました。
私自身、本田氏のことについてはまったく詳しくもなく、応援してきたわけでもありません。
それなのになぜ、そこまで魅了されてしまったのか。
他の方と私では理由がおそらく違います。
職業柄、「良い教師※とはどんな存在か?」ということを常々考えているのですが、本田氏がまさにその条件に当てはまったからです。
教師に、すごく向いていると思ったのです。
理由はたくさんあるのですが、いくつかを挙げてみます。
■強烈なキャラクター
立っているだけで、漫画の登場人物が現実世界に飛び出してきたような存在感があります。
勉強に興味関心を持ってもらうことが我々の仕事ですが、キャラクターに興味関心を持ってもらえるなら、勉強が好きでない生徒も授業に巻き込むことができます。
関西弁も効果的です。私も指導場面では関西弁を使いますが、標準語よりもインパクトが強く、大抵の場合において有利です。地方出身の教師は、方言を積極的に使った方がいいです。
■親しみやすさ
奇抜な見た目で興味関心を高めるだけではダメです。教師が近寄りがたい雰囲気を出してしまうと、生徒は委縮してしまい、「自分らしさ」を発揮してくれません。人間らしさ満載で、ツッコミどころの多い教師は人気者になります。本田氏の場合、強そうなのに、アナウンサーの話を聴いて素直に納得する謙虚な一面や、日本選手は後輩であっても「さん」付けで呼ぶのに海外選手を「こいつ」呼ばわりするなど、そのバランスが絶妙でした。
■人柄が熱い
生徒を激励することも教師の重要な役割です。生徒が結果を出したときに、生徒以上に喜んでいるような教師が担当につくと、生徒も必死でがんばろうとするものです。「一喜一憂せずに」と言いながら、誰よりも一喜一憂しているのも好感度高いです(笑)
■冷静に頭を使える
熱くなると、話していることが支離滅裂になる人、騒いでいるだけで内容が薄くなってしまう人は多いものです。感情に思考を支配されず、冷静に頭を使って物事をきちんと考える。その結果としてどう動くべきかについて、建設的な提案ができる、意見が言える。正しいかどうか以上に、その人が頭を使って考えた意見を言っていることが大切です。
■全体観
全体的な視点からどうあるべきかというコメントが非常に多かったです。実際に本田氏の言葉通りに、日本代表の森保監督が采配を行う場面もありました。そうした思考習慣というのは一朝一夕に身につくものではありませんから、選手時代から相当に考えて動いていた人なのだと思います。「全体観」というのはすごく大切なのですが、現場で、これが見えている人はあまりいません。例えば、受験指導の場合、「英語をがんばる」が正解とは言えない場面があります。「英語」という部分の視点で見れば正解なのですが、「5科」という視点でみて、同じ時間を他の科目に使った方が、総合得点が伸びるのであれば、そちらをがんばるべきだからです。「全体」と「部分」では、正解が変わることがあるのです。「部分」はわかりやすいため、生徒はすぐに「部分」を追いかけます。
■具体性
たんなる評論家ではなく、選手視点でもあったことが、今回の名解説につながったと考えています。友人の長友選手を「佑都」と呼び、会ったことのない選手に対しては「さん」付けで呼ぶ。それが正しいかどうかはともかく、解説が、聞いている人をピッチ上に立たせてしまうかのような臨場感に溢れていました。全体を語るためには対象から遠く離れた視点が必要であり、細部を具体的に語るためには対象に近づく必要があります。この両立が普通の人には難しいのです。
20世紀を代表する米国作家スコット・フィッツジェラルドの名言に、「優れた知性とは、二つの対立する概念を同時に抱きながら、その機能を充分に発揮していくことができるということだ」という言葉があるのですが、まさにこれです。
■いつも前向き
受験生を指導する立場の人間として、一番学ぶべきはこの点でした。
失点直後、逆転直後、勝利直後・・。
決してあきらめず、そして慢心することもなく、常に前をみようとする姿勢。
このマインドが何よりも大切。
終始、結果を出す一流の人間の思考態度であったと思います。
都内の中学3年生は、内申の結果が出る時期ですが、ここがゴールではありません。
最後まであきらめず、「今からなにをすべきか」だけに集中してがんばってもらいたいと思います。
※当ブログで「教師」という言葉は、あらゆる分野の指導者全般を含む意味合いで使っています。