Vol.294 その塾、逆効果
2023年01月31日更新
逆効果。
「ある効果があると予測したのに、かえって反対の結果になること」です。
中学受験にせよ、高校受験にせよ、大学受験にせよ、きちんとした塾に入れて本格的にやろうとすると、学習塾の費用は決して「安い」とは言えない金額になります。
会社の会計部門におられる方や教育業経験者(民間に限る)であれば、塾運営に関わる固定費用や広告宣伝費、変動人件費などを計算すると、適正な運営を維持するためにはどの程度の授業料になるのかはおおよその検討はつくと思います。
教育費はその子の人生全体における投資的な側面があります。
きちんと結果に繋がれば、中長期的にみてその投資分以上のリターンが生まれますし、それがわかっているからこそ、お金の使い方をわかっている方ほど教育にお金をかける傾向があります。
その一方で、子どもの人生は大切だとわかっていても、車を購入することを優先される方もいます。新車ではなく安い中古車を買えば、場合によっては数百万円単位の差が生まれるわけですが、新車を購入されてしまわれるわけです。
新車より子どもの人生の方が大事。
これは私の価値観ですから、押し付けるつもりはまったくございません。
(12年前、走行距離10万キロの中古車を買って、現在21万キロです笑)
ただ、子どもの人生の方が大事と思っておられるにも関わらず、新車を購入されることを優先される方がいます。
この状況、我々学習塾業界に責任があると考えています。
なぜ教育への予算配分を躊躇されるケースがあるのかというと、効果不明瞭だからです。
不明瞭どころか、お金をかけて塾に通わせた結果、勉強嫌いになってしまっているという、反対の結果を生んでしまっている残念な事例も非常に多くあります。
通わせない方がまし、そういうことが実際に起きているのです。
これでは、確実性の高い新車購入に予算が流れてしまうのも当たり前です。
集団授業5科目パックで毎月数千円の授業料。
「安いから」と試しにその塾に通わせてみるのはいいですが、子どものためになっていないのであれば、「お金をドブに捨てる」どころか、逆に塾からお金をいただいても割に合わない状況になっている可能性すらあります。個別指導は原則的に生徒基準でカリキュラムが組まれますから、そこまでのことは起きませんが、集団塾ではこのケース、とてもよくあるので気を付けてください。
「ヤブ医者」という言葉がありますが、医療の現場には本物のヤブ医者は滅多にいません。
医者になるには国家資格が必要だからです。
学習塾を開業するのに、そうした資格は一切必要ありません。
だからこそ、完全な玉石混合状態となっており、親には真贋を見抜く眼が求められます。
逆効果を生み出している塾に通わせてしまっては、誰も幸せになりません。