Vol.010 平成29年度都立高校合格発表を終えて
2020年07月14日更新
個別指導プラスジム塾長の原です。
昨日は都立高校の合格発表日でした。
午後4時、教室にほぼ全ての講師が集まり、結果の報告に来る塾生たちを待っていました。
どんなにベテランのパイロットでも着陸の瞬間には心拍数が高まるそうです。
塾の人間にとって合格発表日というのはまさにそんな瞬間。
期待と不安の入り混じった複雑な気持で塾生が教室に現れるのを待っていました。
この時間に教室に来る約束をしているのは合格だった塾生のみ。
教室に来た塾生は合格です。
3時50分頃、一番初めの塾生が教室に顔を出し、教室内には歓喜や安堵の声が。
そして一人二人と、塾生達が教室に現れ始めます。
「まさか、あの塾生に限って・・」
「いや、高校が遠いから16時に間に合わなかったのかもしれない」
「あの2人は、一緒に来るはずなのになんで1人なんだ?」
そんな考えが忙しく脳内を駆け巡りながら、全員が教室に来てくれると信じて待ち続けました。
担当の塾生が決まっている講師にとって担当していた塾生の合格は「成功」です。
しかし、私の立場では「全員合格」でなければ、心から喜ぶことなんて出来ません。
仮に落ちた塾生が1名であったとしても、やはりその1名のことが心から離れない・・
おそらく全国のどこの塾の塾長もそんな気持ちを抱えて、今日という日を迎えておられるのではないかと拝察いたします。
塾の進学指導方針として、合格不合格の判断基準ははっきりと明示しますが、その状況を受けて、その高校を受けるかどうかの最終決断は塾生と保護者様にお任せするようにしています。
同じ内申、同じ偏差値を取っていた塾生が過去にどんな結末を迎えてきたか。
それについては、模試会社から提供される詳細なデータがありますので、「勝率」のようなものは事前に皆さんわかった上で、受験校を決定されています。
その結果、今年の受験生たちの受験校選択は大半が「チャレンジ」と言えるものでした。
「勉強を必ずやり切って、この高い目標をクリアする!」
そのような強い意志を持った塾生が多い学年でした。
結果的に、塾生たちの偏差値は1年で考えられないほどの成長カーブを描きました。
1年前に偏差値35だった塾生が偏差値59の高校に合格したり、偏差値51の塾生が偏差値68の高校に合格したり・・・
そして3月2日。
たくさんの塾生が1年前の自分と比較すると、驚くほどの難関校に挑戦し、そして合格しました。
その一方で、「全員合格」という目標は実現できませんでした。
講師の前でいつまでも涙が止まらない塾生。
この1年間の彼の姿が次から次へと思い浮かんできました。
誰もいない教室に最初に入ってきて黙々と一人で自習をしていたこと・・
授業が終わったと同時に手の空いている講師を見つけて質問をぶつけていたこと・・
負けん気が強くて、ライバルの塾生と半ば喧嘩のような言い争いをしていたこと・・
限界まで努力しなければ、決して出てこない涙です。
信頼できる誰かと出会えなければ、決して流せない涙です。
そして、私は知っています。
その涙は来る大学合格発表の日には、喜びの涙となって返ってくることを。
時間は戻せない。
でも、「あの日があって今日がある、あの日があって良かった。」
そう思える未来の一日は必ずやってきます。
そういう意味で、今日からの自分によって過去は変えることができます。
人生はまだ始まったばかり。
もしかすると、ブログの読者には私の知らない15歳もいるかもしれない。
もしかすると、必死に努力した結果が報われなかったことに絶望しているかもしれない。
でも、安心してください。
悔しいという気持ちを抱けたあなたの高校受験は決して無駄な時間ではありませんでした。
後悔なんてとんでもない。
3年後、素晴らしい瞬間があなたの未来に訪れますように。