Vol.166 偏差値の伸ばし方
2020年08月11日更新
このブログの中で成績アップに直結する技術を語ることはあまりないのですが、今日はそれについて書きます。模試で偏差値を伸ばすための技術となります。プラスジムでももちろん取り入れていますし、高校受験生の平均偏差値が10以上伸びる原因の一つでもあります。
その技術を説明するためには、「全習法」と「分習法」という概念に触れなければなりません。
学校の勉強の進め方は「分習法」です。
教科書や問題集は「連立方程式」とか「受動態」のように単元別に分かれて構成されています。
「分習法」を例えるなら、頭の中にそのような単元別の解き方辞書をつくるような学習です。
頭の中の辞書の「連立方程式」のページには「代入法」や「加減法」といった解き方が、「受動態」のページには「be動詞+過去分詞」といった情報があるようなイメージ。
頭の中の話ですので、解き方の手順を忘れてしまうこともあります。
その場合はもちろん得点できません。
小テストや定期試験で解答欄が白紙になってしまうのは、この辞書が上手く作れていなかったからなのですが、この辞書に必要充分な情報があっても得点できないことがあるのが模試です。
模試のように単元の指定のない試験で得点するためには、「頭の中にある辞書の使い方」を知らなければなりません。
問題なのは知識がないことではなく、その知識を使いこなせていないことなのです。
ここで「全習法」の登場です。
やることそのものは簡単です。
「総合問題」をやってください。
模試の過去問があればそれがベストです。
ただし、「分習法」とは力を入れるところが異なります。
「全習法」で、もっとも力を入れて行うべきは「解き直し」です。
なぜ間違えたのか、なぜ解き方を思いつかなかったのか、その原因をきちんと分析把握すること。
知識を得ることではなく、知識の使い方を学ぶことがここでの目的です。
そのため、模試は「解き直し」をしなければ学力向上という観点からは受験している意味がまったくないです。
しかし、勉強苦手な生徒ほど、これが出来ません。
理由はいくつかあります。
・いつかやろうと思ってそのまま忘れてしまう
・いつかやろうと思ってそのまま模試を紛失してしまう
・そもそも「解き直し」のやり方を知らない
・学校や塾の先生に「解き直ししておけよー」で話が済まされてしまっている
・同じことを二度やるのが嫌
・自分の「できない」と向き合うのが精神的につらい
どれも良くある話です。
体感的なものですが、中学生の半数は「解き直し」をきちんとやっていないと思います。
プラスジムの受験指導はこの「解き直し」にものすごく力を入れています。
模試当日、生徒たちは会場で模試を受験したその足で教室に帰ってきます。
そしてそのまま、教室でもう一度模試を解き直しさせます。
つまり、模試を1日で二度解くのです。
ただし、二度目はわからない問題を「解答と解説」をみたり、先生から習いながら解きます。
この仕組みをつくったのは東大生なのですが、正直に言うと、私自身そこまで生徒にやらせて良いものなのかという戸惑いがありました。
それまでは「一週間以内に」と指導していたのです。
しかし、いまでは当日「解き直し」は最高の偏差値アップの方法であるという確信を持っています。
勉強苦手な層の生徒たちにこれが出来るのかというのが最大の懸念だったのですが、これまでこの模試の当日「解き直し」に耐えられなかった生徒というのはいません。
一番驚いたのは、生徒の模試に対するモチベーションが劇的に上がったことです。
すぐに模試の「解き直し」をすると、次の模試ではその問題を解けそうな気がするのです。
今年の解き直し会は、講師にとって例年までになくハードな内容になることが決まっています。
コロナの影響で会場受験がなくなったため、模試が教室受験となるからです※。
(※塾などに通っていない生徒は自宅受験)
例年までの模試の場合だと、会場で「解答と解説」をもらってくる仕組みになっていました。
つまり受験終了と同時に手元に「解答と解説」がある状態だったのです。
しかし、今年は受験日から5日後くらいに郵送されてくる仕組みに変更になったようです。
不正を防ぐためなので、それはわかるのですが、私たちの仕組み的にこれはきつい。
もはや私たちの感覚において、「解き直し」が5日後では遅すぎるのです。
そのため、生徒に受験させるその横で講師が「解答と解説」を自作するという荒行に出ることにしました(笑)最初は冗談かと思いましたが、どうやら講師たちは本気のようです。
逆に言うと、そこまでするくらい模試の「解き直し」は効果的だということです。
やっていない人は必ずやってください(やらせてください)。
「分習法」しかやっていなかった生徒の場合、劇的な偏差値の伸びが期待できます。
■解き直しの具体的な方法については以下の「都立受験コース通信」記事を参考にしてください。
定期試験について述べられていますが、模試も基本的には同じやり方で大丈夫です。