「平成28年度」都立高校入試200字作文 考え方と模範解答例
2020年07月25日更新
このページでは、『平成28年度』の東京都立高校入試における200字作文をあつかいます。
200字作文のポイントや書き方などは、こちらを参考ください。
出典と問題の問われ方
〇出典:名児耶明「書の見方」
〇問い:国語の授業でこの文章を読んだ後、「基本を身につけること」というテーマで自分の意見を発表することになった。このときあなたが話す言葉を具体的な体験や見聞も含めて二百字以内で書け。
〇配点:10点
作者の主張と構成のポイント
筆者の主張:
「単に文字を書いただけでは、感動は生まれない。筆者の文字造形を修練した成果や感情や精神の深さが盛り込まれ、見る側がそれを感じられるようになれば、芸術としての資格がそなわる」(第3段落)
「文字に芸術性を感じさせるようになるには、文字そのものの造形の美しさが不可欠である。線と点画の緊張ある調和の美が必要であり、それがあれば文字が読めなくても、意味が分からなくても第一印象で美しいと感じるはずである」(第4段落)
「造形美や書表現を獲得するためには、古典を学ぶことから始めるのが過去から続けられたもっとも一般的で正当な方法である。徹底して古典を習うことで、その古典に内在する書が発する精神性を獲得でき、それを乗り越えて自分自身の形ができあがる」(第7段落)
「狭い制約のなかでの修練こそ、そのものの本質に迫ることが可能である。徹底した制約での鍛錬を乗り越えた時は、前のものよりわずかな進歩に過ぎないが、それまでの基本をすべて身につけているため、そこに生まれた新しさは堅固なものになり、時代が進んでも生き残る強さを獲得するのである」(第7段落)
「その美術が本来持つ造形美の根源を感じさせなければ、真の進歩、その分野の新しい美は得られない」(第10段落)
↓
問いの「基本を身につけること」を踏まえてまとめると、
「芸術性を感じさせる文字とは、文字そのものの美しさや線と点の調和を感じることができる文字である。過去の古典を学び、徹底した制約のなかで基本を身につけたうえで生まれるものが、新しい美となる。」
↓
美しさを獲得するためには、まずは基本と過去を学ぶ必要がある、という筆者の主張を踏まえたうえで、自分の体験や経験に結びつけて考えていこう。
文字(書道やそれに準するもの)についての体験があればその内容を書くといいと思いますが、無ければこだわる必要はないと思います。
段落を二つに分けて、自分の体験と主張を書くといいでしょう。
模範解答例
採点基準
にも書きましたが、以下に採点基準を付けておきます。〇付けの基準にしてください。
<採点項目>
・自分の意見、主張がある。(+4点)
・筆者の主張を踏まえている。(+3点)
・具体的な体験や見聞がある。(+3点)
<減点項目>
・本文の抜き出しや要約になっている。(-10点)
・論旨に一貫性がない。(-2点)
・句読点の誤り、誤字、脱字、衍字(語句の中に間違って入った不要の字)が1つある。(-1点)
・句読点の誤り、誤字、脱字、衍字が2つ以上ある。(-2点)
・最後の一文が途中で終わっている。(-1点)
・101字以上150字以内である。(-2点)
・100字以内または201字以上である。(-10点)
・不適切な箇所が1つある。(-1点)
・不適切な箇所が2つ以上ある。(-2点)